MTB類型車/MTBルック車

JEEP TLEDO 2003

(↑写真はMTBルック車=類型車の例を示すもので、本文とは関係ありません)

少し前の話になりますが、私が家にいると、外から

「ドッカーン」

という大きな音が聞こえたことがあります。

何かあったかと外に出てみると、音に驚いて出てきた近所の人が数名いて、その視線の先には一人の男性と自転車が…。

自転車はMTB類型車(ルック車)なのですが、その男性はよく外で自転車の清掃とメンテナンスをされており、私は「大事に使っているなあ」といつも感心していました。

そのときは…。自転車のリア・ホイールが大破していました。片手に空気入れを持ち呆然としている男性を見て、「あっ、空気を過剰に入れすぎたのだな。それであんな音が出たんだ。」と直感しましたが、それにしても尋常ではない壊れ方です。リムとスポークがよじれて、ひん曲がっています…。よく見るダウンヒルや4CrossのDVDでホイールが大破しているのは見ますが、空気を入れすぎた結果、あんなになるとは…。

空気入れでは私も過去に恐ろしい目にあったことがあります。ロードバイクに8気圧程度の空気を入れていたのですが、そのときは、空気入れが破裂しました。その結果、空気圧メーターが私のこめかみをかすめ、借家の天井に激突したのでした。あれは怖かった。目とかに当たっていたら無事では済まなかったでしょうね。

その自転車はしばらく後輪がない状態で置いてあったのですが、先ほど見たらリア・ホイールが装着されていました。人ごとながらちょっと安心。

ただ、MTB類型車は私も以前所有していたことがあり、そこそこ気に入っていました。マジでパーツを変えて、「走れるMTBもどき」にしようと企んでいたこともありましたからね(笑)。もともとの価格も4万円を超えていて、類型車の中では(購入当初は類型車という認識はなく、これがMTBと思ってましたけど)高いほうだったと思います。

この自転車はダート禁止車であるにも関わらず里山に持ち込んだことがあり(自分が乗ったわけではないのですけど)、メンテナンスのために分解とかしてみたのですが、構造や強度の不足感に驚いたことがありました。実際、ホイールなんかはママチャリと変わらず、かんたんにゆがんでしまいました。

また、近所に置いてある別のMTB類型車は、Cannondale Super Vに似せた形をしており、ダウンチューブの中央にトップチューブが突っ込むような形状をしています。しかし、よく見るとその類型車はダウンチューブがぐにゃっとへこんで、トップチューブが「本当に」食い込んじゃってます。段差でも下りちゃったのかな? なんか設計からしてマズい感じで、普通に走っていてもそう長くは持たないのじゃないかと心配になりました。

このバイクはまだ使われているようですが、フレーム自体が壊れているものを乗り続けるのは本人の安全だけでなく、周りの人を巻き込む可能性があるため、やめたほうがいいと思いますね。

私の家の周りだけなのかな? こんな感じで、壊れた/壊れかけたMTB類型車、上記以外にも何台か見かけました。

一般の人がMTBについて語るとき、MTB類型車とMTBの区別をしていない場合が多いように感じています。私のMTBの値段を聞いて、「なんでそんなに高いの?」「ホームセンターに行けばもっと安いのがあるよ」みたいな感じで言われたりするんですね。MTBは本来山で遊ぶために生まれたものですから、ダートを走るのはお手の物なのですが、MTB類型車の場合は、「舗装路専用」とか「悪路走行しないでください」という感じのステッカーが貼ってあります。見た目は似せて作っていても、乗車の前提条件は全く異なるんですね。山で乗ることができないバイクも「MTB(マウンテンバイク)」なのでしょうか…?

やはり、MTB類型車が「類型」と断られることなく「MTBとして」販売されている現状には問題を感じます。私自身、当初は区別が付いていなくて、最初に買った類型車をしばらくの間MTBそのものだと認識していたのですから。そういう認識で、丈夫だと過信して歩道の段差に毎回無意識で突入していたり、乱暴な乗り方をしていたら、ちょっと怖い。

私は決してMTB類型車の存在を悪と思っているわけではありません。私が持っていたものは街乗りを普通に行うなら十分な強度と安全性を持っていたと思いますし、それは私が生活する上で非常に役立ってくれました。しかし、極端に低価格なモデルなどだと、設計上の十分な考慮がなされているのか、十分にテストされているのかなど、不安が残ります。そういうモデルが「MTB」として紹介されるのは、現在の私にはすごく抵抗があります。

ま、とりあえずMTBという名称へのこだわりは置いといても、「自転車安全基準」の検査に合格した、BAAマークが貼付されているものを選ぶなど、消費者の側も知識を身につけて、自衛していく必要があると思いますね。

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