東京大学大学院の石井直方教授がその推薦文にて「トレーニングの基礎理論と具体的方法が研究者の視線ではなく、現場指導の視線で捉えられている」と表現されていますが、まさしく現場で指導に当たっているトレーナーのみなさんがまとめた書籍、というところに価値があると思います。
タイトルに「スポーツトレーナーが指導している」とありますが、もちろんこれは「21世紀筋力トレーニングアカデミー」という団体の所属トレーナーの話です。ほかの各団体、各トレーナー個人がこれと同じ筋力トレーニングを行っているとは限りません。しかし、「21世紀筋力トレーニングアカデミー」は10万人分ものデータを持っているということですから、私たちのような末端の指導者にも参考になることがたくさんあります。
全体的には選手を対象にした入門編の書籍、といえます。必ずしも私の捉える認識と、この書籍の認識が一致したとはいえないのですが、現場でありがちな初歩的なミスを正しい考え方に導く、という導入がうまくなされていると思います。
実践編の種目紹介も多くはありませんが、これから正しい筋力トレーニングを採用しようとしている選手やコーチが再学習するのには最適な数になるのではないかと思います。その分、一つの種目に3ページ近くを費やし、正しいフォームと誤ったフォームを対比してくれているのです。
このように、初期のトレーニングを重視した作りであるため、短期的・長期的なスパンでのピリオダイゼーション(区分け)・トレーニング・プログラムを組むためには別の資料が必要になるでしょう。