ブルース・リーの薬物依存

Bruce Lee

この記事については、ファンにとっては今さらなところもあるのですが、触れずにはいられませんでした。

https://news.yahoo.co.jp/articles/5afba99208b9a5b90de1d750b10f94e737ded718

なるほど。ブルース・リーがドラッグ依存を告白していた、ですか。告白というより、売人とやりとりしていた、ということのように見えますが。

ある程度のブルース・リーのファンであれば、少なくとも検死解剖で彼の体内から大麻が検出された件は知っているはず。私が今さらと述べたのはそういう既知の事実があるからなんですが、今回は友人との手紙でそれが裏付けられた、という話なんですね。しかも、彼が使っていたと思われる薬物は死後に検出された大麻だけではなかったことがうかがえます。

たぶん、「ブルース・リー ザ・ファイター」という書籍で読んだ記憶だと思いますが、著者のミト・ウエハラさんが、彼が薬物を試したことがあると告白したことについて触れていました。ただ、ウエハラさんによれば、「確かに効き目があったが、武術から得られる成果には及ばず、私には必要ないものだ」というような話をしていたとのこと。このあたりは、上に紹介した記事の「一時ドラッグを止めようとした」辺りにリンクする話ではありますね。

この一連の話については、ファンになった当初から彼について「残念」に思っていることのひとつですが、おそらくは彼が過ごした環境から、現代日本人の私たちのような薬物に対する抵抗が少なかったのではないかと思います。香港悦劇のスターだったブルースの父親はアヘン中毒でしたし、心酔していた詠春拳の師匠、イップ・マン(葉問)もそうでした。彼らを批判するのは簡単ですが、日本も戦後すぐはヒロポンという覚醒剤が乱用されたそうで、1951年の覚醒剤取締法施行までは野放しに近かった状態のようです。

最初に「残念」と書いた通り、ブルースを擁護するものではありません。大ファンではありますが、絶対にお近づきにはなりたくない人だったと、常々思っています。

さて、彼の関連本でかの日野康一先生が「誰がブルース・リーにドラッグを供給していたかを知っている」とおっしゃっていたし、後発の詳しい本でもその相手を明かせない、という別の著者もいました。そんな状態で私もその黒幕が誰かを今回まで知らなかったのですが、それがまさか、彼のオークランド時代の弟子である、ロバート・ベイカーさんだったとは。私はこっちのほうがショックでした。

日野康一先生の時代はロバートさんがご存命だったから、簡単に本名を明かすことができなかったのかもしれませんが、今となっては分かりません。

ロバートさんは、ブルースの香港への凱旋後の2作目の作品、「ドラゴン怒りの鉄拳(Fist of Fury/Chinese Connection)」でロシア人用心棒役を演じています。

7/20に死後48年の命日を迎えるブルース・リー。私も「友よ、 水になれ——父ブルース・リーの哲学」を注文したばかりだったのですが、気持ちは複雑ですね。

ただ、彼が世界に与えた功績は多大です。映画界、武術界のみならず、Be Waterの精神はいろいろなところに引き継がれています。今回のようなネガティブ要素についても、前述したように現代日本の基準で評価するのは適切ではないところもあります。当時の香港でも違法だったはずですので容認すべきとは思いませんが、単純に切って捨てるのではなく、その背景にまで思いを馳せることも必要ではないでしょうか?

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