第三夜 ドラゴンへの道

第三夜。今日、7/20はブルース・リーの44回目の命日でした。

今回のイベントで、実は一番観たいと思っていた映画がこの作品。「ドラゴンへの道」です。

まずはTVでのブルース・リーとの初遭遇がこの映画だったことがその理由の一つ。あとは、この映画だけ、満足な劇場鑑賞が出来ていないことがもう一つの理由です。

「ドラゴン危機一発」「ドラゴン怒りの鉄拳」は、日本初公開版については劇場鑑賞の経験がありませんでしたが、それをリファインした1983年リバイバル版は観たことがあります。この1983年版の2本に続き、「ドラゴンへの道」もリバイバル上映されるはずだったのですが、おそらく「ドラゴン危機一発」「ドラゴン怒りの鉄拳」の興行成績が悪かったのでしょう。続けてリバイバル興業の予定があった「ドラゴンへの道」「死亡遊戯」はあえなく中止となってしまいました。

私がこの「ドラゴンへの道」をようやく劇場で観られたのは、20年ちょっと前。奧さんと一緒に見に行ったのは、小劇場で上映された英語版。なぜか、ブルース・リーの怪鳥音は「ほわぁぁ」という変な声に置き換えられてしまっていて、とても残念だったのを覚えています。まあ、英語版のビデオを持っていますから、「ほわぁぁ」は知っていたんですけど、日本の劇場で「ほわぁぁ」とは…。

昨年、そんな私にビッグニュースが。日本初公開版のプリント→ネガが発見されたというのです。Blu-rayになったと聞き、即買いしました。

実は5月に池袋ヒューマックスにて、この日本初公開版は劇場公開されているのですが、なんとしたことか、私はこれを見逃してしまったのです。

しかし、今回はピカデリーさんが4夜連続の3日目に、この作品を用意してくださったことで、ついに日本公開版を今夜目にすることができたのでした! 感謝!

TV鑑賞ベースですが、子供の頃一番好きだったのはこの映画でした。「危機一発」は残酷だし、「怒りの鉄拳」はリー先生が狂犬ぽいし。「燃えよ」のリー先生は暗すぎ。それに対して、「ドラ道」は最後は寂しいものの全編を通して明るくておかしいし、子供にも分かりやすかったのです。

元奧さんのリンダさんのお話によれば、彼女はこの映画が一番好きなのだそうです。映画に登場する「タンロン」が、まさに自分の夫の素の姿に近いから、ということらしいです。

でも、大人になるにつれて、この映画は4本の中で、作品としての出来は最も悪いかも…と思うようにもなりました。特に、例の「ほあぁぁ」を劇場鑑賞したときくらいから強く感じていました。まあ、ブルース・リーの初企画、初監督、初脚本ですから、それは仕方がない。「ブルース・リーの伝説」を書いたライターさんであるアレックス・ベン・ブロック氏は、「ホームムービー程度の出来」と感想を述べていますが、確かに、そう言われても仕方がありません。

日本の西本正さんが撮影監督なのですが、ピンボケがかなりひどく、特に空港のシーンではそれがひどい。フォーカスマンがひどかったのか、慣れないテクニカラー(?)を扱ったせいなのか。特にローマのシーンは撮影許可を取らないゲリラ撮影がほとんどだったと聞いているので、かなり慌てて準備不十分のまま撮っているのかもしれないし、あとで出来が分かっても撮り直しが効かなかったのかもしれません。

このように、ブルース・リーにとって課題を多く残した映画でしたが、香港ではブルース・リー映画の中で最もヒットした作品になりました。当時の香港で初めて500万ドルを突破し、不倒記録とも言われたくらいなのです。

それは間違いなく、ブルース・リーのカリスマに他ならないでしょう。また、自分ですべて監督しているので、アクションシーンもすばらしいものがあります。おそらく、「ドラゴン怒りの鉄拳」〜「ドラゴンへの道」が、ブルース・リーのアクションのピークなんじゃないかな? 大画面で観る全米空手チャンピオン、チャック・ノリスとの死闘も大迫力でした。

あまり感情移入できる映画ではないので、昨日のような観たあとの落ち込みはなく、純粋に楽しんだ感じではあります。とにかく、アクションシーンが多いので、見終わったあとのすっきり感も前二作の比ではありませんでした。

さて、今日の主催者さんの上映前挨拶。初日にお名前を聞きそびれ、昨日は自己紹介がなかったので、今日よく聞いてみると「チャウ・シンイチー」さんとおっしゃっているようでした(笑。

今日のチャウさんのお話のメモ。

  • 昨日、「怒りの鉄拳」の道場破りのシーンではジェイムズ・リー製作の「瓢箪形」ヌンチャクが使われた、と紹介したが、大画面でじっくり観察してみたら明らかに違った。嘘を言ってゴメンナサイ(笑。
  • 倉田保昭先生のヌンチャクではないと言ったことも正確ではないかもしれず、申し訳ない。
  • 撮影監督は、香港にさまざまな技術革新をもたらした巨人、西本正さん。特にコロシアムの撮影にはこだわった。実際には狭いスタジオの中にコロシアムを再現しているので、工夫を凝らした。
  • 例えば、まっすぐ歩いてくるようなシーンでは、リーさんたちに斜めに歩かせ、カメラを動かしてまっすぐに歩いているように見せたとか。これにより、映像が深く、広くみえるのだそうだ。成果は不明だが…。
  • この日本初公開版は今年5月に池袋ヒューマックスで公開済み。
  • ブルース・リーが「スキヤキ」好きなのは有名だが、果たしていつから?
  • 香港では、撮影後にみんなで食事したあと、お酒を飲む人、そうではない人が別れてバラバラに行動するのだそうだが、いつも西本さんが1人で消えるのを気にしたブルース・リーが尾行したところ、トーキョー・レストラン( or 大和レストラン?)で休まれていたそうで。
  • このレストランで西本さんがブルース・リーにごちそうしたのが「スキヤキ」。それ以来、ブルースはスキヤキ好きになったそうである。
  • 最後に、コロシアムのシーンでは、猫は1匹ではなく、2匹登場するのを知っていましたか?

なるほど! 猫が2匹いたとは、今日まで気づきませんでした。

最後に、ブルース・リーさん以外で書いておきたいこと。それは、共演のノラ・ミャオさんです。あまりにもキュート過ぎて萌え死にしそうでした。最初の「危機一発」ではまだ垢抜けていなかったし、昨日の「怒りの鉄拳」では髪型がヘンなので、あまり「はまらなかった」のですが、「ドラ道」のノラさんの魅力は異次元です。今頃気づきました(苦笑。

帰り際、ショップを覗いてみたら、大量に置いてあったヌンチャクが黒1本、黄2本になってしまっていました。こりゃ、明日は手に入るか分からない、と考え、1本購入しました。2013年の新宿武蔵野館で買ったものが、傷んでしまったからです。

黄色いヌンチャク

黄色いヌンチャク

前のものより重く、回しやすい

前のものより重く、回しやすい

2013に買ったヌンチャク

2013に買ったヌンチャク

2013年に買ったものは、軽すぎて回すのが大変でした。ただ、外側の黄色いカバーは同じレベルで弱そう。飾り用なんだろうなあ…。

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • こんばんは・・お〜、リー先生三部作制覇! ですね。
    さすがにコアなファンだけあって、連チャンで鑑賞なさるのが凄いパワー。う〜ん、私も見習わねば・・(ブツブツ

    自分はこの(↑)作品だけ見たことが無い気がしましたが…ほほぅ。日本人の撮影監督さんだったのですか。へぇ〜!(トリビアだ…)

    それにしても、後日談的なうんちく話が凄いなぁ・・やはり、偉大な武闘家・俳優だったという事でしょうね。
    チャウ・シンイチーさん=
    もしかしたら、【少林サッカー】の監督・主演のチャウ・シンチーさんかな?(たぶん、そうだと思いますが…)
    自身もリー先生の大ファンという事で、(パロディですが)色々と面白いカンフー映画を創っておられましたねぇ。
    やはり後代への影響は凄い…という事でしょう。

    そう言えば、ドニー・イェンさんってわりと有名(失礼!)な方なのですか?
    先だってCATVで観た【スター・ウォーズ/ローグ・ワン】でも出演なさってましたけど…。さすがに”フォース”は無かったようですが(苦笑)棒術使いのアクションが決まっていて、なかなかカッコよかったですね。

  • sadaさん。こんばんは。

    昨日の段階で、私以外にも連チャン鑑賞の方はいらっしゃったようですが、今日の「燃えよドラゴン」の入りを見る限り、全上映制覇の人も結構いたんじゃないでしょうかね。

    そう、ドラゴンへの道は、西本正さんが撮影監督なんですよ。ほかの作品と比べてちょっとピンボケが多いのが気になっていました。基本的に空港のシーンだけおかしいので、イタリアでのゲリラ撮影の影響かもしれません。香港で非常に尊敬されている方です。

    チャウ・シンイチーさん。チャウ・シンチー(周星馳)さんの名前をもじったみたいですが、日本の方のようです。
    Facebookで確認するとちゃう・シンイチーさんで、「ちゃう」が平仮名のようでした。毎年、今年のような企画をされているそうで、昨年もピカデリーさん、やられていたようです。なんで気づかなかったんだろう?
    今年は昨年の入場者記録を抜いたそうです! 来年もやってほしいなあ。

    ドニー・イェンさんも、武術的な技能は高い方ですよね。相当リー先生のことを尊敬しているようです。

    いやあ、さすがに4夜連続でアクション映画。しかも、Bruce Lee先生の超絶エネルギーであったため、非常に疲れました(笑。

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