この映画にさかのぼること数年前、ブルース・リーが撮影した死亡遊戯のフィルムが見つかったということで、再編集した新作への期待が高まりました。アメリカでは”ウォリアーズ・ジャーニー”、日本ではこの作品が同時期に作られましたが、完成直後のプレミアム試写会には妻、長男を引き連れ、見に行きました。
試写会には高弟のダン・イノサント氏が現れました。そのような場には不慣れな感じで、すごいコメントを得られたわけではないですが、94年に来日されたときにセミナーに参加させていただいた経験があったので、とても懐かしかったですね。5歳の子供を膝に乗せて鑑賞したのですが、彼も飽きずに最後まで見てくれました。あれから7年近くたった2007年でも、彼はあのときの様子を覚えているそうです。
このときの印象としては、「前半のドラマ部分はどうでもいいな」ということでした。そして、後半のアクションシーンが非常に長いこと。これにはびっくりです。過去の作品はアクション・シーンは多いようでも、意外に短いんですね。過去の全作品分の情報量に近いアクションが、この作品の後半部分に詰まっているのではないかと感じました。
さて、DVDが発売されてみると、スクイーズ記録されていて、かなり高画質だし、その点では大変満足しています。ただ、映画館で感じたようにドラマ部分はどうでもよく、DVDで再生したことはほとんどありません。再生するのは後半のアクション・シーンのみです。
ダン・イノサント氏のフィリピン武器術は大変素晴らしいものです。ブルース・リーもスピーディにヌンチャクを振っていますが、燃えよドラゴン以外の他の作品同様、すごくまばたきをしているのが気になってしまうんですね。それに対して、イノサント氏のヌンチャクの安定していること。
また、次の階で闘う池漢戴氏の武術もかなりすごい。韓国式の合気道(ハプキドー)だそうですが、日本の合気道、合気柔術とは印象がかなり異なります。池氏は、「ドラゴンへの道」やジャッキー・チェンの「ヤングマスター」「ドラゴンロード」に出演していた黄仁植氏の師匠で、韓国では大統領のボディガードもつとめるなど、かなり実力が高いことで知られています。
そして、最後の階に現れるカリーム・アブドゥル・ジャバーは、言わずと知れたアメリカ・プロバスケットの得点王です。身長が高い上に、身体能力が半端ではありません。長い手足をもてあまして、格闘アクションはやりにくそうではありましたが、あれだけの身長があるとやはり迫力を感じます。
このように非常に楽しめる作品なんですが、どうにも気になるのは編集のいい加減さですね。どうでもいいようなシーンをだらだらとつないだり、編集を明らかに誤っていたり。ファンとしてはブルース・リーのいろんな姿を見たいから、その意味では冗長な編集もまあ許せたりするのですが、基本的にはきれいに編集して、あとは特典映像などで見られればよかったのかな、と思います。