Cコースを2回下った後、Hさんの希望で4x(フォー・クロス)のコースへ行ってみることにした。
4xの定義は私にはわからないが、今回利用したコースは人工的に設けられたジャンプ台やカーブがいくつも並ぶ、短い下りのコースであった。
実際に走ってみると、ジャンプ台に登るときに自転車が極端に起き上がるため、要領がわからない私にはかなり怖いコースであった。ただ、非常にゆっくり走っているので自転車のジャンプも小さく、一応最後まで倒れることなく完走することかできた。1回走ってみた感想として、ここはまだ私には無理だろうと思われた。
昼食のあと、Cコースに再び挑む。
しかしである。3回目になり、体の疲れがかなり蓄積されていることに気づく。Hさんのアドバイスでレンタルショップにブレーキの調整こそしてもらったものの、あまりブレーキの調子がよくない。これは、私の握力が失われつつあることに加え、ロード用の薄いグラブしかつけていなかったので手のひらが衝撃を受け、痛みを感じ始めていたことにもよるのかもしれない。
それでも楽しいので4回目。今回は私が初めて前を走ることになった。
前に目標がないのでスピードの目安がわからないが、今までよりは若干速めで下ってみることにした。すると、走行中の景色の流れが非常に早くなり、段々気持ちがよくなってきたのである。3回目の不調が嘘のようだった。全身はかなり疲労していたし、手の痛みなども相当あったが、その分脳内麻薬がどんどん分泌されていたのかもしれない。
平地などに入ってスピードが落ちかかったとき、お尻を後ろにグッと引くと、バイクが加速されることも実感でき、始めて MTBの面白さを理解したような気がした。初心者の私にテクニックがあるはずもなく、フルサスペンションのバイクだからコントロールがしやすく、スピードも乗せられた、というようなことだろう。実際、走った後雑誌やムックなどの情報を見てみたのだが、その日Hさんが乗ってきていたようなハードテイルだとかなりテクニックがいるらしく、またスピードも乗りにくいらしい。
4回目を下ったあと、少し休む。5回目を走るかどうか迷ったが、体力的にここで終わったほうが安全だと思った。
しかし、最後に例の4xをHさんが走ることになった。私はさきほど、あまりバイクコントロールがうまくいかなかったこともあり、やめておくつもりだった。しかし、Hさんが走り出すのをみると、私も最後にちょっとだけ、という気持ちになってしまった。この甘い判断が私のような素人の「油断」ということになるのだろう。