Westone UM3Xはステージモニターのユニバーサル版ということで、やや面白味に欠けるかなあ、というのが購入直後からの一貫した感想でした。ボーカルは前面に出てくるもののこれも何かフィルターを一枚かませた感じで、生の声というより何か楽器を聞いているような印象もありました。それで、先日九州方面に出かけたときも、UM3XではなくUE TRIPLE.FI 10 PROを同行させたくらいです。
しかし、先日LIMEの曲をiTunesから買ったとき、最初にUM3Xで聞いてみたのですが急に音場が立体的になっているように感じました。最初から音の情報量が多いというのは感じていたのですが、少し高音が出るようになった感じがするうえ、中音のフィルターがかかったような感じがなくなり、人の声らしくなっているように感じたのです。むしろ10 PROに付け替えたとき、若干味付けしているのではないかというような感想を持ちました。それは今まで私が使ってきたオーディオ機器的な音がするので安心するし、好きなのですが。しかし、UM3Xのすべての音を出し切るような素直な感じもいいな、と思えるようになってきています。
その上、最初に感じていた中音域の微妙な曇りや高音の不足感がここに来てなんだか解消されている感じ。その結果、すべて一様に聞こえてきた平面的な音がかなり立体的になっている感じです。左右への広がりは10 PROのほうがありますが、UM3Xもかなりの広がりを感じるようになりました。
音の聞こえ方は正直なところ精神状態や体調によっても大きく変わるので、その後もしばらく聞いたり、あるいは2-3日間全く触れずに改めて聞いたり、ほかのジャンルの曲を聞いたりしました。でも、やはり中音のこもり感が消え、音の広がりが出て、ものすごく好みのイヤホンになっているように感じられます。単に私の耳が慣れただけなのか、コンプライのスリムチップがいい感じにくたびれてきたのがいいのか、それともやはりこういうイヤホンには数百時間のバーンイン期間が必要なのか…。耳慣れやバーンインによるものだったらいいのですが、コンプライのチップを新品にしたとき、また元の音に戻ってしまった、なんてのはいやですね。
大好きな久保田早紀さんの曲も、ボーカルが明らかに透明な感じになってより楽しめるようになりました。
このイヤホンは数百曲流しっぱなしにしても全然変化しない感じだったので、こういう変化は楽しめないイヤホンなのかと思っていましたけど、最近になってこうやって楽しめるようになったのはうれしいことですね。