世界空手 東京 2008

剛柔流空手道

いまさらながらですが、11/15,16に録画した世界空手 東京 2008を見てます。

私も高校時代はポイント制の空手を行っていました。当時はビデオも普及してなくて、全日本大会や世界大会などのビデオを見る機会もありませんでした。当時は自分で競技に参加をしながらも「寸止め」の意味についてどうしても理解できずに、中途半端な気持ちで組み手に取り組んでいたような気がします。まあ、甘えです。その流れで、大学以降試合に参加することもなく、またその後もビデオなどで見ることもなく過ごしました。その結果、私の中には自分が出た大会レベルの記憶と印象しかありません。

そんな状況で、今年の世界大会の様子をハイビジョンのクリアな画質で見たわけです。いろんな意味で感じるところがありました。今は一ファンとして、感想をまとめることにしてみましょう。

まず、今の私は「寸止め」がどうこう、という疑問を持っていません。これはそういうルールで高度に発達した競技なのだと見ています。実際、世界大会レベルの選手の身体能力のすごさに驚きました。

突きでポイントを確実に取るスタイルの基本は長年変わっていないのだと思いますが、私の時代より遥かにルールが進化していて、技も多彩です。上段蹴りのポイントが高いことなどは、一般へのアピールにいいかもしれませんね。

しかし、突きの実態はかなり変化しているようでした。私たちの時代は踏み込みと同時に突きを出していた記憶があります。実際、下半身が遅れる突きは不十分としてとってもらえなかったですから。ですが、今は上半身が先導し、下半身が追従する突きが多く見られます。このスタイルは重心を大きく移動するのに役立つし、実際、そうじゃないと攻めが決にくいのではないかと思いました。たぶん、自分があの場に立ったら、おそらく訳がわからないままに突かれっぱなしになるんでしょう。

また、バネを使った縦横無尽に動き回るフットワークなども印象に残りました。私の時代は、フットワークを使いまくる高校生選手、どっしり構える大学生以上の選手、というイメージがあったのですが(古すぎますか…?)、世界レベルの選手のフットワークは縦横無尽です。外国人選手は、ブルース・リーのように、横構えでフットワークをとっている選手が男女問わず多かったですね。このためか、私の時代に主流だった前蹴りも、世界大会の(少なくとも放送された部分では)ほとんど見かけませんでした。

「一撃必殺?」をイメージしているためか、一発一発にかけるものがすごいのですが、それがうまく決まらず連打になるとぎこちなく、またバランスを欠いている、という側面は今も昔もそんなに変わっていないかな。これはこのルールではしかたがないと思いますけど。

柔道競技やレスリング競技などでも、審判のレベルの是非を問う論争がありますが、技の見た目を審判が判断することによってポイントが決まる空手競技の審判は大変だなあと思います。自分の技に対する選手のアピールも必要ですが、「いまのパンチ当たったよ~」というようなネガティブなアピールもこの競技ならでは(実は私たちが全国大会への切符を手にしたのも、このネガティブなアピールが大きく影響してました)。

現場で見ていないこともありますが、少なくとも画面上で見ると、どの選手のどのパンチが極まったか、という判定は非常に微妙な場合が多すぎますね。解説の方々も、審判が判定するまでどっちがとったかわかっていない場面がたくさんありました。とにかく、他の格闘技と異なり、解説の人が「あれ? とりましたね」「あれ? とりませんでした」みたいな、「あれっ?」というのが多かったのが印象的です。実際、スローで見たときに肩に抜けたパンチをポイントに取ったりもされているようであり、人間の目での判定の難しさを感じました。

実は現場ではもっと、高度に正確に判定されているのかもしれませんが、少なくとも一般の観客へは分かりにくいと思います。ほかの格闘競技のように、一般の観客にアピールするためには、もっと明確に勝敗が伝わるようにならないと、厳しいのではないでしょうか。またそうならないと、念願のオリンピック競技としての採用も難しい気がします。何度も検討されていると思いますが、フェンシングで使うようなポイントの判定器具を開発して採用するとか。

ただ、今回の世界大会、このルールの中での選手の技量は非常に高いところまで来ていると思われ、私自身はかなり楽しめました。

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