マイク・レメディオス Mike Remedios

この名前にピンと来る方は間違いなくブルース・リー ファンであり、きっと第一次ブームに近いころから彼の映画を見てきた人でしょう。

現在もブルース・リーの各作品はDVD化され、発売されていますが、その中にはこのマイク・レメディオスのクレジットはありません。

ここから先は完全に私の想像です。
1974年-1975年に日本で公開された「ドラゴン危機一発」「ドラゴン怒りの鉄拳」「ドラゴンへの道」は、すべて英語版でした。当時の日本人にとっては香港映画であってもいわゆる「洋画」というもので、英語でなければならなかったのでしょう。
しかし、これらの映画に収録された音楽は、そのほかの外国語映画と比較してかなり違和感があるものだったのではないかと思います。おそらくその音源もきれいなものではなく、サントラも作れなかったかもしれません。こんなわけで日本の観客向けに音楽が必要だったのではないでしょうか。
ここで登場するのがマイク・レメディオスというシンガーです。
「ドラゴン怒りの鉄拳」「ドラゴンへの道」においては、もともとの音楽に英語版の歌詞をつけ、それをマイク・レメディオスが主題歌として歌っていたのです。私がブルース・リーの映画を初めて映画館で見たのは「死亡遊戯」であり、それまでに公開された映画を映画館で見たことはありませんでした。しかし、死亡遊戯の公開に伴って新たに作られたベスト盤や中古のサントラ盤を捜し当て、そのレコードを聞くことでブルース・リーの映画音楽を楽しんでいたのです。このマイク・レメディオスという人の声がすばらしくて、当時の私にはとてもかっこよく見えました。「ドラゴン危機一発」についてもマイク・レメディオスが歌っている”To Be a Man”というものがあるはずなのですが、もともとの音楽がなんなのか、さっぱりわからない状況になっているため(テレビ放送も、20th Century Foxのビデオも、日本のPONYから出たLDも、全部音楽が違う)、日本向けのテーマ音楽と同時に収録されたものではないか、と考えていました。iTune Music StoreのUSA版に”The Big Boss(ドラゴン危機一発)”のサントラがありますが(日本では買えません)、これは20th Century Foxから出ていたVHSと同じだと思います。PONY版VHS, LD以降一般的になった広東語版に、日本公開版の主題曲となった曲が含まれているので、それをベースに作ったものかもしれません。

その後、1980年代初頭にようやく「ドラゴン危機一発」と「ドラゴン怒りの鉄拳」のリバイバルを映画館で見ることができたのですが、前者のラストシーンにマイク・レメディオスが歌っているはずの”To Be a Man”がなかったような気がします。記憶違いの可能性もありますが、このリバイバル企画で新しく作られた音楽に置き換えられていたのかもしれません。
しかし、後者の「ドラゴン怒りの鉄拳」の主題歌は見事にマイク・レメディオスで、鳥肌が立ちました(その前にテレビ放送された同作品はマイク・レメディオス版ではなかったんですよね)。その後、ドラゴンへの道もリバイバル公開される予定だったのですが、Return of the Dragonと題された「ドラゴン危機一発」「ドラゴン怒りの鉄拳」のリバイバルが興行的に成功しなかったためか、実現しませんでした。
このこともあって二次ブーム以降にブルース・リーファンとなった私は、オリジナルの日本公開版は一つも見ていません。しかし、彼の各主演作のサントラやベスト盤が、それを補いました。

そういうわけで私たちファンにとってはこのマイク・レメディオスは特別な人だったのです。しかし、最近までこの人がどんな人なのか全くわからなかった(実は日本人では、なんて噂もありました)。それを、有志の方が見つけて、実在の人物としてのマイク・レメディオスが明らかになったのでした。URLなどを見る限り、2000年ごろの出来事でしょうか。

http://www.akhd.sakura.ne.jp/LEE/Report/2000hk/mike02.html

そして先週、Amazon.co.jpのおすすめにSONG OF DRAGON – Mike Remedios The FinalというCDが発売されたという情報を見て、一も二もなく買いました。
セルフ・カバーとなる各主題歌を聞いて、久々に鳥肌がたつ思いでした。声が衰えていないだけでなく、渋みを増してオリジナル主題歌よりずっといい出来だったのです。ほかのシンガーが歌った主題歌のカバーもあり、ファンにとっては盛りだくさんの内容でした。買って以来、毎日聞いています。

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