運動科学—アスリートのサイエンス

運動科学 アスリートのサイエンス

京大人気講義シリーズと名付けられた一連の書籍の中の一つですが、その名の通り、講義の内容を書籍化した、という体裁を取っています。
この書籍は通常の運動科学の本の枠を超え、スポーツ科学の最新の知見や研究途上の二軸動作などについても言及されているところで価値を高めています。
以前、八田先生の『エネルギー代謝を活かしたスポーツトレーニング』をこのコーナーで紹介しましたが、この『運動科学−アスリートのサイエンス』にも八田先生が登場して持論を展開されています。この部分については、私も言いたいことはよくわかるのですが、私は「有酸素運動」という言葉が悪いのではないかと考えています。これが前提にあっての八田先生の主張なのか、それとも本当に「100メートル走とマラソンを一つのカテゴリに含めたいのか」はっきりしません。文面を読む限り後者ではなさそうですが、そうなら新しい運動のタイプの分類法を提示するくらいのことが必要なのでは、と切に感じる次第です。

さて、著者の小田先生の記述ですが、こちらも大変に示唆に富んでいておもしろいです。いや、おもしろすぎます。二軸理論を中心に置いた「走」の分析は、少年時代に足が遅かった私にとっては大変興味深く読みました。
私の子供時代の思いはさせたくないと、長男には「走」動作の基本をいろいろと教え込みましたが、この書籍に記述されていた分析もかなり盛り込んでいます。現在小学校5年生の私の息子は50m走を最高7秒6のスピードで走り、現在は学年一の速さを誇っていますが、恥ずかしながらこの記録は私の高校2年生のときくらいの記録ではないかと思います(汗)。もちろん、現在はこの長男より私のほうがはるかに速く50mを駆け抜けられますから、私のほうも高校時代よりずっと速く走れるようになっています。

ただ、二軸理論については私の理解が浅いのかもしれませんが、それだけで説明するのは少々乱暴な気もしています。一軸と二軸は多分に関係し合うもので、それらは動きの局面において一軸が優位になったり、二軸が優位になったりするものではないかと思うんですね。乳幼児の歩きが二軸なのだそうですが、その乳幼児の歩きは理想なのでしょうか? もう少し研究が進むとよりおもしろい成果を期待できそうです。

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