野沢DHマラソン・予選

野沢予選

今回、大勢による一斉スタートということで、ゴンドラが混雑する可能性が高いという。このため、私の予選は14:00スタートだったのだが、12:00にはゴンドラに乗車し、12:30には山頂のレストランにいた。
前カテゴリ終了後、すぐにスタート地点に向かう。そこでは列毎に選手が呼ばれていた。私は最高列の16列からスタートするので、呼ばれたのは一番最後である。それでも、遅れてきた人が私たちの後ろについたので、実際には17列あった。これだけの人数で、下りをスタートするのは初めてなので思ったより緊張感があったのだが、いざスタートとなると最後尾に近いので危険を感じることはなかった。
今回も試走同様、初・中級者コースを選択して下まで降りきったのだが、予想通り遊歩道は混んでいる。時々バイクに乗りながら、多くは押しで進むことになった。後で聞いたら、トップは18分くらいでゴールしたらしい。私が遊歩道を進んでいたころにはすでにゴールしていたのか。信じられないスピードだ。
沢のシングルトラックはもっと混雑していた。沢に達する下りの途中で30分以上が経過していて、先が心配になる。何とか沢を超えても、次のシングルトラックで同じようにずっと止まって並んでいる。誰かが「試走ではここが一番楽しめるセクションだったのに」というようなことを行っていたが、この状況だとレースでもここをバイクに乗って走れることはないだろう。
その後、激下りなどを経て、最初の登りセクションへ進むために、コンクリートの側溝を横切る。前輪を持ち上げ、後輪を抜重しようとすると、疲労でうまくいかない。後輪が「ガツン」という音を立てた。いやな予感がしたが、先週や午前中の試走でパスしているのであまり心配しなかった。しかし、横から声がかかる。
「それ、パンクしてますよ」と。
「本当に?」
バイクを降りて確かめると、確かにシューッという悲惨な音が。チューブレスタイヤの表面に5ミリくらいの亀裂が入り、そこから空気が抜けているのだ! そうだった。2.0inchに変えて、エアボリュームも減っていたんだった…。時すでに遅し。
あわててコースの外に出て、対策を考える。これは中にチューブを入れるしかない。ただ、5ミリ程度避けているので、その対策も無駄かもしれない。いずれにせよ、何とかしなければならず、ウエストポーチの中を見る。なんと、チューブがない。代わりに入っていたのはアイウエアのケース…。馬鹿。サドルバッグの中にも入っていない。
近くにいる人にチューブを持っている人がいないか聞いてみた。一人の選手が貸してくださるという。喜んでお借りしようと思ったが、彼もパンクで、チューブの穴をふさごうとしてうまくいっていない、という状況だった。これでは申し訳ないので、チューブをお返しし、私はリタイアすることにした。
私の後に通過する人も次々と、プシューッと音を立てて止まっている。魔のセクションだ…。
側溝越えのミスを後悔しながらバイクを押して舗装路を降りていく。しかし残りの距離を考えると埒があかない。どうせタイヤの修理も難しいだろうから、タイヤを犠牲にしてゆっくり舗装路を乗って降りることにした。悔しさがどんどん込み上げてくる。思ったより長い距離の下りが続く。蛇行のせいか、コースを降りるよりずっと長いようだ。タイヤどころかリムも心配になってきたが、もう自棄っぱちでそのまま乗って降りることをやめなかった。

ゴール地点まで何とか降りて、今回のプロジェクトの代表である八代さんのいるテントに行き、リタイアの旨を伝えた。すると、八代さんが
「大変でしたね。わざわざここまでありがとう。ちなみに、予選でリタイアしたって本戦には出られるからね。明日頑張って走って下さいね!」と励まされた。そして
「みなさん、リタイアしたって本戦は走れるからね。頑張って走ってください」
と放送していた。
とりあえず、本戦はリタイアにならなかった。ほっとしたが、自棄っぱちになって乗って降りてきたProphetのホイールは果たして大丈夫なのだろうか? そっちが心配になってしまった。

そこで、野沢温泉アリーナのメーカーブースに行ってみた。まずはCannondaleのブースだが、残念ながらタイヤは持ってきていないとのこと。残念である。次にIRCのブース。ここには、昨日ショップで見かけたMIBROの2.25inchがチューブド、チューブレスともに置いてある。しかし、残り少ない。聞いてみると、今日かなりの数が出たそうだ。
1本で6000円、2本で10000円という。昨日購入したばかりのタイヤはもったいないが、2本まとめて購入し、交換することにした。すると
「交換しましょうか?」
と言っていただいたので、喜んでおまかせした。IRCブースの人は今回Lefty(レフティ・片持ちフォーク)の交換を初めて覚えた、とのことで、私のホイールの取り外しはスムースだった。
驚いたのは、交換のスムースさである。取り外しはものの数秒、取り付けも1分はかかっていなかった。
もちろん泥だらけなので、リムをきれいにするという工程はかかっていたものの、交換そのものの段取りはさすがにプロフェッショナルである。Bikitさんのときと同様、かなり詳細にコツを教えてくれた。Bikitさんでは外すときにタイヤを手前に引いて外すようにしていたと記憶しているが(体験で私もそうやらせてもらった)、IRCのスタッフは前に押し出すようにして本当に一瞬で外していた。これは製品の特性によっても異なるのかもしれない。
おかげで、とりあえず私のバイクのタイヤはよみがえった。空気漏れもなさそう。とりあえず、明日の本戦は大丈夫と見た。
洗車場は多くの人が並んでいて、とても洗える状態ではなかったので、宿泊先の馬場荘のご主人にお願いして、裏庭で洗車をさせていただいた。会場に用意された洗車場よりはるかに水圧が強く、よりきれいに洗えたのはありがたかった。

予選の後はウェルカムパーティが18:00より開催された。立食パーティ形式だが、ものすごい人なので、なかなか食事がとれない。苦労して集めた食事は郷土料理でとてもおいしく、いつのまにか満腹になっている私がいた。
その後、コースデザイナーである竹本選手の、ヘッドカメラによるコース案内が始まった。攻略法についてはあまり聞こえなかったが、画面でみるとものすごいスピードで降りていることがわかる。さすがにプロはすごいと思ったものである。
しかし、プロジェクトの代表である八代さんという人はすごいエネルギーの持ち主である。あのカリスマで多くの人を魅了しているのだろう。地元の人の太鼓のパフォーマンスなど、野沢の文化とMTBを融合させたイベントは見事の一言に尽きた。
宿に戻ると、ご主人が自ら収穫したというトウモロコシをご馳走になった。これは本当においしかった。明日のための大きな活力になりそうだ。

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