Prophet号をどう強化するか

今年は主にCannondale Prophet号とScott Ransom号を乗り比べた感じになりました。主にはダウンヒルコースやダウンヒルマラソンコースでの乗り比べとなったのですが、先を急がず楽しく乗るにはRansom号、多少のリスクを覚悟ですっ飛ばすにはProphet号、という感じでした。

それでちょっとProphet号を強化してみたい気にもなっています。例えば、下りの際にはステムを交換して短くしてみるとか、ブームに乗ってハンドルを長くしてみるとか。

COGにて、試乗された方、実際に交換された方から「2010年Lefty Maxが非常にスムースで驚いた」という話を聞きましたので、2011年に入ったら最新のLeftyに換装するのもいいかな、と思いました。

ただ、8月のレースでは5km程度を真剣に下ると2本も走ればマイグレーションしてしまうその仕様にも悩まされたのも事実です。それに、Lefty Max仕様では交換出来るステムは限定され、下りを優先した場合には25.4mm径のハンドル以外を選択できません。685mmくらいのMonkey Lite XC ローライズバーを考えていたのですが、25.4mm径だと660mmになってしまうみたいです。ちょっと大げさですが、711mmのMonkey Lite DHのほうを選択することになるかのかも。

ここでいっそのことフォークを通常のシングルクラウンフォークに換装してしまうと、ステムもハンドルも選び放題になり、あらゆる完組ホイールの中から選べるようになります。手組ホイールでも選べるハブが増えてきますし。

しかし…。

これを見ると、やはりLefty Maxのほうに気持ちが傾いてしまう…。

これまで、Lefty Maxの単独のデモンストレーションを見たことはありましたが、このように並べてみるとその剛性とストローク特性の違いは明らかになります。初っぱな、上から思いきり体重をかけても変形が小さい(剛性が高い)Lefty Maxに対して、通常のシングルクラウンフォークはより軽い力で大きく前後に変形してしまいます。同じグレードのホイールを取り付けてねじれる力を加えたときの変形にも差がありますので、ねじれ剛性でもLeftyが優秀なのが感じられます。もちろん、私自身が同じ車種(Rize号)にLefty Max/FOX FORX 32 FLOAT R 2009 9mm QRを取り付けて乗り比べた経験があり、剛性の違いは歴然としていたのでよく分かります。36 VAN Rを付けたRansom号と、Lefty Maxを付けたProphet号を比較しても、フォーク周りはやはりProphet号のほうがカッチリした印象を受けます。

なにより、偏った力がかかった状態でのストロークの違いは圧巻ですね。Leftyはスムースにストロークします。が、シングルクラウンフォークは引っかかってしまってストロークしなくなってしまうのです。構造的に仕方がないのかもしれませんが、最新のシングルクラウンフォークではこのような局面でのストローク特性を改善しているそうです。でも、油断した私が忘れたころに前輪を滑らせて転倒してしまうのは、この親切な特性によるモノだったりして…(?)。

剛性が高ければいいフォークかというとそうとも限らないので、これだけを見てどちらがいいフォークであるという判断はできません。でも、2005年のLeftyでもかなりの性能を持っていることを身をもって知っているので(少なくとも2009の32 Floatには劣りません)、やはり2010, 2011のLeftyには期待してしまいます。

この動画は、120mm – 140mmのフォーク同士での比較だと思いますが、だとするとシングルクラウンフォークのアッパーチューブ径は32mmといったところでしょうか? ちょっとFOX FORXっぽく見えるのですが、もしそうだとしたらロワーレッグをつなぐアーチのところの肉抜きの形状から2008以降のFシリーズ、120mmストロークのフォーク(100mmにしては長い)に見えます。

コラム部分はオーバーサイズで、それをラップしているように見えます。アクスルは微妙ですが、9mmQRでしょうか? だとすると、この動画のような差が出ても仕方がないのかな、と思います。どうもオーバーサイズということでコラムとクラウンの部分でまず大きくしなっているようですし、クラウンとアッパーチューブの接合付近でもしなっているように見えます。

こちらはステアリングコラムが太めに見えるのですが、どうなのでしょう? axleサイズは不明。

しかし、これだけ剛性が高くてストロークがスムースなLeftyは、例えばJerome Clementz選手が制したMEGAVALANCHE 2010では投入されていませんでした。単純にスポンサーの関係で、というわけではないと思います。

ITW de Jérôme Clementz après sa victoire à la Mégavalanche 2010 from Enduro Tribe .com on Vimeo.

でも、このようになってしまうのも分かるような気がします。それはこのエントリーの最初のほうで書いたことでもありますが、Leftyそのものの剛性とストローク特性が優れていたとしても、MEGAVALANCHEに適応できる一時的な耐久性と、パーツを組み合わせる環境が整っていないと思うのです。

私の草レースレベルでも、Lefty Maxは2回の下りで30mmもマイグレーションしてしまい、強いプリロードがかかった状態と同じになってしまってしまうのです。より長丁場で激しいコースであるMEGAVALANCHEにおいては、まずLefty Maxは最初から最後まで、その性能を保つことができないでしょう。新品に近いものならもう少し持つかもしれませんけど、Jeromeみたいな選手があのスピードでガンガン下りていったら厳しいんじゃないかな?

そして、ポジションをとるのに必要なパーツが選べません。ああいう激しい下りではクイックなハンドリングが可能となる短いステムが欲しくなるでしょうが、上にも書いたようにサードパーティ製の短いステムを使おうとすると、31.8mm径は採用できません。優勝を狙うプロにとっては厳しいレギュレーションとなるでしょう。そういう周辺パーツもCannondale側で整えてあげる必要があるような気がします。Leftyに干渉しないよう、ワンオフのカラム・ステムを作ってもいいと思いますが、最近の流行に反して、大きくヘッドの位置が高くなってしまうのもどうかな?

そして、タイヤのクリアランス。Prophet号などを見ると、2.5インチの太さのタイヤはLeftyに干渉してしまうかもしれません。ギリギリ大丈夫でもノブに小さい石なんかが挟まったらもうダメかも。

MEGAVALANCHE 2010優勝バイク

MEGAVALANCHE 2010優勝バイク Cannondale RZ One 40

元ネタ:http://www.endurotribe.com/2010/07/itw-portfolio-de-jey-clementz-apres-sa-victoire-a-la-megavalanche/

これはMEGAVALANCHEの優勝バイク、Cannondale RZ One40のようですが、やはりかなり短いステムをインストールしているように見えます。リアサスもFOX DHX Airに換装されているので、サスペンションのスポンサーはFOX RACING SHOXなのでしょうね。でも2010にはFOXテクノロジーを搭載したLeftyもあったから、それはLeftyを選択しなかった理由とはならないかもしれません。

ホイールはMavic Crossmax SLR。XC用の最高峰のホイールです。ということは、タイヤも2.5ということはなさそうです。しかし、あんなコースでも使えるとはCrossmax SLRはすごいホイールだと思います。

選択したフォークはFOX FORX 32シリーズの150mmストロークのようです。標準のLefty Maxは140mmまでですから、ヘッドチューブ角が68°かそれより少し寝たくらいになります。150mmフォークなら、もう少し寝かせることができるようになるはずで、そのあたりもフォーク選択には関係しているかもしれませんが。

Jerome選手は1年前の別のステージでRize + Lefty Max 130と思われるフォークで出場していましたが、そのときに思うような成績を残せていないようなので、Leftyの選択を躊躇したのかもしれません。

まあ、本当はこういう場所でLefty Maxが活躍して、優勝してくれれば嬉しいのですけど、それが難しいから(↑)の仕様になったのはきっと間違いないと思います。Leftyそのものに高い剛性とストローク特性があるとしても、レースに特化したポジションが取れないのは非常にキツイです。それに、マイグレーションのような短時間での性能劣化を抑えるような工夫をしないと、MEGAVALANCHEへの適用は難しいでしょう。

…さて。Judgeなき今、今後はProphet号も富士見に持ち込んで走るつもりでいますが、Cコースなどは8月に走った野沢のコースより長い、まさしく「マラソン」的なコースになります。快適に走ろうと思ったら多分、2-3回はマイグレーション解消が必要となるでしょう。最新のLefty Maxだと、この弱点は少しは解消されているのでしょうか…?

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • プロフェットの楽しさは、軽量な所だと思うので
    XC系のホイールの改装って僕も考えていましたよ。

    パノラマでご一緒させて頂いた方が、クロスマックスの
    SLとSLRでガンガン走られていたので問題無いんだなと
    いうのが解ってましたので。ただ体重は軽めの方でしたが。

    うーむ。Leftyやめてシングルクラウンフォークに換装するんだったら
    フレームはキャノンデールじゃなくていいのかなと思いますよね。ファンとしては特に。

    プロのメンテ頻度を聞いてみたいですね。軽量ホイールにしろLeftyにしろ。。

  • hw875さん。こんばんは。

    > XC系のホイールの改装って僕も考えていましたよ。
    なるほど。大事を取ってCrossmax STにしたのですが、2007のProphetのトップグレードって、たしかSLRでしたよね?
    合うのかも。市販品は推奨されるタイヤの太さが細めでしたが、Prophetには2.35が付いていたような気がします。
    パノラマでSL/SLRが使えたと聞いて、Prophetのカスタマイズの一つの方向が見えてきたような気がします。

    > プロのメンテ頻度を聞いてみたいですね。
    ですねー。Lefty登場から2005年までは、所属していたセドリック・グラシアProは4Xでガンガン走っていたので(何回戦まで進んだかはわかりませんが…)、1日中走っていた可能性も考えられます。メンテナンス頻度はどんな感じだったのだろう?
    たぶん、私の場合セッティングが柔すぎてストロークしすぎてずれやすいとか、リアサスとのバランスが悪くてフロントへの負担が大きくなりすぎているとか、あるいは乗り方がまずくてフロントフォークにやたら負担がかかっているとか(苦笑)、十分にあると思います。
    もしかしたら、セッティング、乗り方その他でマイグレーションは抑えられるかもしれませんね。
    以前あるコミュニティサイトでベアリングを滑らせる(?)鉄のプレートを厚いものに変えると、マイグレーションが抑えられるという記事を見ました。ただ、動きの良さは失われるそうです。
    何度もシングルクラウンは検討したのですが、やっぱりLeftyという結論になってしまいます。
    野沢温泉で同じコースをVAN Rと比較することになったわけですけど、Leftyは片持ちで困らないどころかむしろ性能を発揮できていたように感じました。もともとMTB用のコースではないので、凄いコースなんですけど、Leftyはよく動いてくれていました。
    というわけで、次もきっと、Leftyなんでしょう…(笑。
    ↑の動画はそれをかなり後押ししてくれました。

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