友人に紹介されて始めたMTB。
それまで、自転車というと基本的に舗装道路しか走ったことがありませんでした。当時一緒に仕事を始めたばかりでしたが、友人が雨中でのダウンヒル体験をあまりにも楽しそうに話すので、私もついついやってみたくなりました。そこで一回、富士見パノラマリゾートのCコースという初級者向けのコースを体験してみることになりましたが、その気持ちがいいこと。調子に乗りすぎてケガはしてしまったけど、それ以降やみつきになってしまいました。
以前、ある有名な身体運動科学の先生の著書で、自転車がスキルの要求度がきわめて低い種目に分類していたのですが、それが大きな間違いであることに気づきました。おそらくその先生にとって、自転車=町中を走るママチャリくらいの知識しかなかったのでしょうが、どんなスポーツでも上手にこなすためには、非常に高いスキルが必要になります。たとえばロードバイクでは、100kmを超える長距離を乗り切るための体の使い方、姿勢の維持や、要所要所での姿勢のリセットなど、非常に高度なスキルが要求されます。MTBなどは、路面が安定していなかったり、勾配が急なポイントを周回したり、ダウンヒルでは高速で山を下ったりと、動作そのものにも高度な技術が要求される種目だと私は思っています。実際、私も上手に乗れるようになるため、友人に聴いたり、上級者に質問したり、あらゆる書籍や映像を集めて研究しましたが、スポーツのフォームを分析的に見るクセを付けている私でもまだまだ入り口のところをうろうろしている状態です。
そんな私が初期に購入して大変気に入ったのがこの書籍でした。全日本チャンピオンでシドニーオリンピック代表の鈴木雷太選手の著作です。
自然の中にMTBで入っていったとき、私たちを待ち受けるのはどんなものなのか、すごくわかりやすく紹介してくれています。そして、私たちはどのように対応すれば上手に楽しく走れるのか。2005年、日本で初めて開催されたダウンヒルマラソンに参加する前にも、何回も読み直して、私の苦手なところをどういう風に走ればいいか、イメージトレーニングを何回も行いました。おかげで、本番では試走のときよりずっとスムースに安定して走ることができました。
ただ、MTBは動きのあるものですから、書籍だけでイメージをわかせるのには限界があります。しかし、2006年5月、その鈴木雷太さんも出演されているDVDムックが発売されました。これで雷太選手の動きの中でのトレイルテクニックを確認することができます。それについてはまたこのコーナーで紹介したいと考えています。