最悪
実に大変なことになってしまいました。
私が所持している親指シフトタイプのノート、FMV-BIBLO MC4/45Cが壊れてしまったのです!
数日前の朝、出掛けに、食器棚の上にPC用バッグをおいて、別の場所に移動したところ、そのPCバッグが床に落下してしまったのです。
バッグの中は十分に固定されているし、PCが固定されていない側から床に落ちたので、まさかPCに異常が起こるとは思っていませんでした。しかし、立ち上げてみると、無残にも液晶画面が内部でいくつかに割れていて、まったく画面を参照できない状態に…。起動そのものは異常がないようなので、外部モニターをつないでバックアップなどをとることは可能だと思います。しかし、ノートでも特に修理代が高くなると思われる液晶画面が壊れるとは…。
あまりにも修理代がかかるのであれば、新しいものを購入したほうが得だと思います。しかし、以前にも書きましたが、親指シフトキーボードを持つノートはこのタイプが最後…。修理しかないのか…。
新製品の発表
しかし、その翌日、富士通株式会社から意外な発表がありました。FMV-LOOXという、ノートパソコンでは最小の部類のシリーズに、親指シフトタイプのものが出た、というのです。価格は16万円弱。2月の発売だそうです。
最近、親指シフトキーボードの新製品が2つも発売になりましたが、心配していたノートの後継機にも親指シフトキーボードが搭載となると、これはもう富士通の親指シフトキーボードサポートもかなり本格的になってきたといえると思います。
それにしてもなんというタイミング。液晶交換とこの価格に差がないのであれば、購入したほうがお得。早速、アクセスのページをのぞいてみました。
すると、LOOXの写真が掲載されています。写真は残念ながらJISキーボードのもののようです。「きっと、親指シフトを搭載した機種の原本がまだないんだろう」と思い、実物の写真が公開されることを待つことにしました。
しかし、翌日、写真の雰囲気が何となくおかしいことに気づきました。変換キー、無変換キーのところに2列の文字が刻印されているのです。不審に思った私は、富士通のサイトで調べてみることにしました。すると、JISキーボードに見えたそのキーボードは、なんと新しいタイプの親指シフトキーボードだったのです!
これは親指シフトなの?
通常、親指シフトキーボードというのは、中央に大きなシフトキーが左右二つならんでいるものなのですが、このキーボードでは左右のシフトキー(変換・無変換キー共用)の間に大きなスペースが挟まっています。親指シフトでは、文字キーの一番下の段から3番目の段まで、キーが2つずつ割り振られており、左右の親指キーを同時打鍵することによって、上下いずれかの文字を選択するようになっています。濁音、半濁音を入力する場合にも、親指キーの同時打鍵が必要ですから、非常に使用頻度が高いキーなんです。それなのに、シフトキーは普通の文字キー程度の大きさしかありません。なんで?これでは、同時打鍵を行う場合に、親指をかなり意識的に外側に開いて行なわなければならず、中央にある文字キーを打つのは大変につらい配置になります。
似た大きさのFMV-BIBLO MC4/45Cのキーボードを利用してみると、やはり私の親指は内側から外側まで、打つ文字キーによって、かなり広い範囲で利用されていることがわかりました。あんな狭いキーに割り当てられたのではたまったものではありません。
ちなみにこれが現存するモバイルノートの親指キーです。
上部のリンクと比較すれば違いは明らか!
しかし、これは富士通がいうには「れっきとした親指シフトタイプ」なんです。左右の親指キーがGキーとHキー(ちょうど中央)からみて、左右同じ距離に配置されていますし、多少ctrlキーなどの大きさが違うようなのです。そう、親指タイプはやはり別に作っているわけです。
なら、どうしてこんなにわけのわからない配置に大きく仕様変更してしまったのでしょう? 私が現在利用しているMCとはまったく異なるシフトキー、BSキー、ESCキー、Tabキー。デスクトップも併用しているので、決して移行はスムースとは思えません。
新しいユーザに、違和感の少ない配置にして、利用者層を拡大しようという意図なんでしょうか?しかし、それでは、今まで親指シフトキーボードを支えてきた人たちの気持ちはどうなんでしょう?あまりにも大きく違いすぎるそのキーボード配置に、「改めて慣れなさい」ということなんでしょうか?わざわざ親指シフトキーボードタイプを改めて起こすのであれば、なぜ、従来の親指シフトを捨ててしまったのでしょう?将来、新しいハードウエアでJISも親指も共用していこう、という考えなのでしょうか?実際にはJISと親指でキーボードが微妙に異なるので、わざわざ今回のような形にした意図が分かりかねます。
単なる試みであってほしい
私としては、今回のスタイルが、あたらしいユーザを獲得する(できるのかは不明)ための、ひとつの試みであってほしいと思います。モバイルへの親指シフトキーボード搭載を試みたという点からは、価値があることなのかもしれません。しかし、既存のユーザとしては、このスタイルが定着してもらっては「まことに困る」のです。また、「(本物の)親指のモバイルは、二度と手に入らないのだろうか…」と暗鬱な気持ちになります。
将来の親指シフトニーズに対するひとつの模索とか、そういった目的があるだけで、再び「本物の」親指シフトキーボードが復活することは私は切に望む次第です。
このノートが売れた場合、親指ノートは継続するかもしれません。しかし、このスタイルでは私は「イヤ」です。かといって、売れなかったら「二度と出ない」のかもしれません…。
アクセスのページを再び開いてみました。すると、先着20名の特典が、発売後1日でですでに完了となっているようでした。「買う人いるんだ」と意外な気持ちでしたが、富士通に考えを改めてもらうためには、購入し、実際に使用した上で富士通に意見を述べるしかないかもしれませんね…。そのためだけに16万円弱はきつすぎる。
MCは
やはり、壊れたMCを修理に出すのが現実的な選択肢になるようです。修理代がLOOX購入に引けをとらないような金額になったとしても、正しい親指シフト入力ができるMCのほうが数倍使い勝手がよいでしょうから。
また、今後、今回のような仕様変更された、つまり親指同時打鍵の機能を著しく損なうようなキーボードがモバイルに載っていくような情勢になったら、私にゃ耐えられない…。そのような場合はとりあえず、MAXUSのような、アップグレード専門のショップを利用して、限界までMCのスペックを上げていきたいと思います。たとえ、LOOXより高くても(微妙)。
もし、MCの能力が底をついたとしても、LOOXを選ぶとは限りません。キーボードの質などで評価が高いIBMのThinkPadシリーズをソフトウエア(Japanist2002など)でエミュレーションしたほうが、より快適な気もするからです。
あーあ。
2001/02/11追記
先日、このキーボードをとあるショップの店頭で試しに入力してみました。立って何気なく入力してみると、ほとんどまともに入力できませんでした。次に、椅子に座って正しい姿勢で入力してみましたが、3文字に1文字は誤って入力するありさま。特に、左手の親指が誤ってシフトキーを押してしまうことが多いようで、最下段の文字の入力は厳しいものがありました。もちろん、慣れもあるのでしょうが、このサイズのモバイルの場合、いろいろな姿勢で打つことが要求される可能性があると考えられます。バスの中や電車の中で利用するのはちょっと厳しいでしょうね。
私にとっては実用範囲外なので、やはり購入は見送ることになりそうです。壊れたノートの修理費用は約10万円ということで、厳しい数字なのですが、実用を考えれば修理を選択すべきでしょう。