昨日は登りでスクワット20セットをこなしたかのような疲労感に襲われたのですが、とりあえずはじめての1400m級の山を制したということで、恥ずかしながら自信に変えようと思います。
でも、Tさんはなんかサラッとしているんですよ。頂上までの登山なんて、当たり前のことのように。そういえば1400mと聞いたときに、私がTさんに
「1400mもすごいけど、富士山の頂上からダウンヒルする人もいるんですってね?」
と問いかけると、
「あ、それ私もやりました。」
え、えっ? 何。名実共に日本一のダウンヒルとなる、富士山も制覇しておられるんですか??
「頂上まで登ってのダウンヒルと、途中まで登って高速斜面コースのダウンヒルをやりましたよ」
だそうです。頂上コースは登り7時間、下り30分とのこと。また、高速斜面コースを選ぶと、石道を時速70kmでダウンヒルすることになるそうなんです。転けたら即死か? そんな経験があればどんな高速コースもお手の物でしょう。
しかしこんな身近な人が富士山頂上からのダウンヒルを経験しているなんて。昨日の感じからすると、私にはとても無理だな。
さて、頂上から少し下の避難小屋までの分岐に戻りました。私たちのバイクのほかに3台のHTバイクがあります。私たちより少し後に出発されたみなさんのバイクですね。私もいつかはHTで山に出てみたいのですけど、体力と技能の限界を感じて160mmフルサスに走った私には実現できないかも。
SCOTT RANSOM号にオンボードカメラを取り付けました。Tさんに追いつくことができればこれで後ろから撮影を試みます。ただ、改めて思いましたけど、この種のカメラはスキルのある人が撮らないと面白くないですねぇ。Tさんのバイクに付けていたらもっとエキサイティングだったと思いますよ。
この地点までのちょっとした下りで、Tさんとバイクを交換して乗ってみたのですが、前後のスプリングレートが柔らかい感じなのか、非常に路面追従性がいい感じがします。タイヤが2.1なので、2.35のタイヤを履いたRansomほどのしっかり感はないかもしれませんが、ちょっとした登り返しなどは逆にシャープに働きます。このカテゴリのバイクとしてはやはり軽いのでサスペンションはソフトでありながら、シャキシャキしている感じでしたね。リバウンドの設定も結構遅めでしたが、このフィールドにはそれが適しているみたいです。
Tさんが私のRansomに乗った感想は、リアの感じはとても良かったけど、やっぱりフロントの動きがエア独特の硬さを感じるとのことでした。また、リアももう少しスプリングが柔らかい設定のほうが好きとのこと。
こんなアドバイスを受けて、私もリアとフロントのポジティブエアを抜いてスプリング自体を柔らかめに設定しました。リアはネガティブエアも調整してみたかったんですけど、ボトルケージのダイヤルが邪魔をして無理でした。Ransomの前三角は小さくて、小さめのペットボトルしか入らないのであまり実用的ではないかも。エア調整もできないし、結局家に帰ってからはずしてしまいました。
推測ですけど、前後ともサグ30-40%程度の設定になったはず。ダウンヒルバイクのJudgeもその程度に設定しているので、下りには適しているかもしれません。
さて、楽しみの下りですが…。すでに足が終わっている感じで腕も相当に上がってしまっているので、踏ん張りが効かなさそうな感じですよ…。下りの始まりは乗車率が低い感じで、しばらくは下りて押すことも多かったです。登り返しではすぐに息が上がってしまい、足もおぼつかないのでTさんからかなり遅れてしまいました。
動画の最初のほうに出てくる左側が崖の狭いシングルトラックはとても印象に残っています。高所恐怖症気味の私はもう左を全く見ないようにして走っていましたが、狭いし、時々木が通路を塞ぐし、かなり怖かったです。実際にはもっと長くて、担ぎの場所もあるんですけど、動画的に厳しいのでカットします。
これらを超えるとようやく純粋に下りを楽しめる感じになってきますが、私にとってこの山が初めて来る場所で、路面がかなり荒れたままなので、茶色系のアイウエアをしていると道がどう続いているのか分からないときが多々ありました。動画の中盤当たりの映像ですね。
動画の最後のパートはTさんをとらえた部分で、このコースの中では比較的高速に走れたパートです。付いていくのが大変でしたね。Ransomのリアはさすがに素晴らしい感じで、ストロークも有効に使えていてガツンという感じもありません。しかし、反面でMarzocchi AM4には余裕がありません。100mm程度ストロークするとエアが「ガツン!」と踏ん張るような妙にぎこちないボトミングをします。昔のエアサスっていう感じでしょうか?
ここがLefty Max 140なんかだと、根っこや段差を「スルッ」とか「ヌルッ」とか超えてくれるので、今回の岩とか根っこの連続を高速に超えていくパートやテクニカルな九十九折りのコースは、たぶんProphet号のほうが速く下りられたのではないかなあ、と思います。実際、Prophet号ではもうちょっと高い段差が連続するような隣にある1000m級の山を走った経験もあるのですが、もっと余裕がありました。そういえばそちらの山ではTさんも前転されたと伺い、なんか同じ人間なのだと妙に安心しました(笑。私は2度走って2回とも前転していますがね(苦笑。
あとは2009 FOX FLOAT 32 R 140を装着したRizeですね。こちらはリアの追従性はProphetの上を行きますし、FLOAT 32 RもLefty Maxに迫るスムースさを持っています。FLOATもエアサスですが、より少ないサグになるようなエア設定でも、AM4のようなボトミングはせず、有効ストロークもより大きい感じです。今のRize号にはXCホイールを装着していますが、これをChaseに付けているMavic Crossrideに換装すれば、9mm Axleでもホイール剛性がかなり高いのでもっと楽しめるような気がしました。
当然ですが、Ransom 1号機に付けていたFOX FORX 36 TALAS Rの2010年モデルあたりが2号機にも付いていたら、高速パートは楽で余裕があったでしょうね。そこまで行ってようやく160mmクラスのバイクをわざわざ手に入れた目的が達成されるような気がしますよ。今回は明らかに、140mmクラスのProphetのほうが登りだけではなく下りも楽だったであろうと感じました。有効ストロークに対する車体の軽さも有利でしょうね。
上の文章を見てもおわかりの通り、私の下りの走りは車体の性能に頼った乗り方です。HTバイクなんかに乗ったらブレーキかけまくりになるでしょう。山や常設コースで乗った絶対数が少ないこともあると思うのですが、コーナーなどのライン選びは未だに分かりません。コーナーに入るまでの路面に余裕があると、冷静に行けますが、直前に大きめの段差があったり、コーナーが短い間隔で続いたり、コーナーの角度が小さかったりするととたんに慌ててどう走っていいか分からなくなってしまうのです…。本当に上達していないですねぇ。自分でも感心します(ヤケ気味。
常設のダウンヒルコースなどだとよりテクニカルな場所が設定されていたりしますが、普通の山はまた違う。そんなに難しくはないように見える場所も草や低木がコースに張り出してきていたり、でかい石ころの割れたヤツが転がっていたり、倒木や落ちた無数の木の枝がトレイル上に散乱していたり。結果的にはやっぱり大変です。やはり慣れるためには自分でも積極的に出かけないと、上達もしないと思います。
気をつけなければいけないのは、自分の土地ではない場所を走らせていただいている意識を常に持つ必要があること。今回は「難しい」と思った場所は素直にバイクを下りて、押すことにしましたが、結果的にそれが路面を守ることにもつながったことに気づきました。自分たちが走るフィールドを守るためにも、ほかの分野の愛好家の方々とのトレイル共有を可能にするためにも、自分自身の心がけは大切です。
さて…。今回浮き彫りになったのは体力不足と技術不足に加えて機材選択の難しさですね。少なくともD系タイヤの代わりにAM系タイヤを履かせていれば、路面抵抗の軽減に加えて実重量も小さくなって、舗装林道の登りはきっともっと楽だったと思います。もっと言えば軽量のProphet号なら、林道の登りと、未舗装となる登山道の押し上げで体力を温存できて、Tさんにもご迷惑をかけずにm(_ _)m、下りももっと楽しめたと思います。下りのほうも、手持ちのバイクの中ではProphet号に一番適した感じがしました。むろん、Ransom号のフロントフォークがFOX 36系なら、登りはさほど改善されなくても、最上の下り経験になった可能性は高いです。
でも、やっぱり技能はもっと高めたいですよね。Tさんならたぶん、Enduro号ではなくHTのChase号でも楽しく駆けられたはず。
今回はずいぶんTさんの足を引っ張ってしまいましたが、これに懲りずに今後もぜひおつきあいいただければ、と思います。今回は極上のトレイルにご案内いただき、ありがとうございました!
【汚い動画について言い訳】
…ちょっと下りで画面が揺れすぎていますけど、1号機につけて富士見のCを走った時や、野沢ダウンヒルマラソンに行ったときはこんなに揺れてなかったよなあ…。
よく考えたら途中からトラクション・モードにして下りていました。
登り返しでダンシングしたらすべてを吸収されてバイクが止まってしまったので、これはいかんと100mmのトラクションモードにしたわけです。ですので、以降は100mmのストロークでダウンヒルです。まあ、フロントも100mm程度しかストロークしないので、バランスは取れている?
前もそうでしたが、Ransomにするとすぐにモードを忘れてしまいます。2008野沢DHの試走で、えらいハードなコースだなあ、と思っていたらレバーがロックアウトモードになっていたのでした(苦笑。
コメント
コメント一覧 (6件)
うっしゃ〜・・コレはきついわ・・・あ、こんばんは。
さっそく動画、拝見しましたよ。よく無事に帰ってこられましたね〜。
ココは有名なんですかね? もし一人で行って崖下にずっこけたら、一巻の終わり・・みたぃ。
Tさんのスキル・体力も凄いですけど、icofitさんも元気ですなぁ・・アタマ、下がりますよ。
つらつら考えるに…)もしそれなりの機材と装備なら、コースのDHは楽しめるスポーツですねぇ・・。
もっとも、それなりの出費も覚悟しないとダメですが。
でも、オートバイや車にかける位なら、DHの方が健康的ですね・・確実に。
sadaさん。こんばんは。
早速ご覧頂きありがとうございます。
> ココは有名なんですかね?
Tさんに教えていただいたサイトで、以前ちろさんのところで紹介されていたそうです。
http://www.youtube.com/watch?v=L0d2TK5RhpQ
いいカメラで上手な人が上手に撮影して、センスのある編集をするとこうなるんですねぇ。
私の動画を見るよりこっちのほうがよく分かると思います(苦笑。
あっ。ScalpelもしくはRize号に乗っている人がいますね! (前半に出てくる赤い服の人)
http://www.youtube.com/watch?v=4YacyqvAMOk
すごいキレイに撮影できてますねぇ。次は私もヘルメットに装着できるように頑張ってみます。
> もし一人で行って崖下にずっこけたら、一巻の終わり
それは思いました。私はひとりでは来られません。Tさんは2月にひとりで来られたようですが…。
> icofitさんも元気ですなぁ
いやいや。70km走破する人がなにをおっしゃる。
> もしそれなりの機材と装備なら、コースのDHは楽しめるスポーツですねぇ
常設コースは比較的安全性が高いと思います。
例えば、富士見のCコースとかはXCバイクでXC装備で下りる人もいますし、Rizeならかなり快適だと思いますよ。
(富士見では、2008年にRizeのレンタルバイクが3台ありました。試乗車的な意味合いが強かったのか、翌年はなくなりましたが)。
私がCコースで転倒したのは、Ransom1号機で無茶したときの1回だけなので、初心者向きによくできたコースだと思います。
ぜひいつか、DHコースをご一緒しませう。
楽しそうに下られている動画を、愉しく観させて頂きました
Icofitさんが実際に見られて(視線を送って)おられる、先の風景と
カメラに映っている先が違う違和感に慣れなくて「おお??」でした(笑
>Ransomにするとすぐにモードを忘れてしまいます
TAXIの “乗車” レバーみたいに、ハンドルバーあたりにモード表示をなさるとk(違
ゴーグル内側なんかに、モードがディスプレイされるとカッコいいのですがw
赤が好きさん。こんばんは。
> カメラに映っている先が違う違和感
そうですねー。ハンドルが見ている先でした(笑。
このカメラ、購入当初から変なノイズが入るので、ボリュームを5%くらいまで落として公開しています。
振動が激しすぎるので、酔いそうです。
> ゴーグル内側なんかに、モードがディスプレイ
そうなると忘れることもないのでしょうが…。
下まで下りてロックアウトモードに戻そうとしたらレバーがトラクションになっていたのに初めて気づきましたよ…。
なかなか、ハードなMTB登山。。だったようですね。。
お疲れさまでした。臨場感のある動画も楽しませて頂きましたよ。
横が崖、、というのが良く伝わってきました。
ご同行のTさん、凄いですね。慣れている方に同行して
貰えると心強くていいですね。富士山DHとか憧れますが
体力が無いと大変そうですね。。
MTB遊びは、怪我が無いのが一番ですよ。下りて押すのも
ゆるめのラインを選ぶのも大事ですね。
機材スポーツですので、あれこれ試すのも楽しみのうちの
一つですね。気にいった物を使うと楽しさも増しますし。
無理をしないくらいに、長く楽しめるといいですね。
hw875@四角四面さん。こんばんは。
> 横が崖、、というのが良く伝わってきました。
木が邪魔をしてうまく走れていなかったんですが、ここは一番印象に残った場所だったので動画に含めました。
Tさんに先行してもらっていなかったら、どこかで遭難していたかも(苦笑。
> 下りて押すのもゆるめのラインを選ぶのも大事
今年は痛感しています。怪我ばかりで結局1月、2月も行こうという話になっていたのにできませんでしたので。
今回怪我をせずに済んだので、また行こうと思えばいつでも行けるわけです。
当たり前だけど、すばらしいことですね。これは。
今回押したところは、次回できるようになっているといいなあ。
この趣味は長く楽しみたいと思います。