ペダリング

Bianchi ML3 Veloce Mix 2004

2月末にロードバイク Bianchi ML3 Veloce Mix(以下、ML3)を購入して以来、私はずっと普通のシューズで乗ってきた。
しかし、ロードバイクにもともと付属しているペダルはバインディング用で、シューズとペダルを結合するタイプのものだ。このバインディング機能を利用すると、ペダルを踏むときだけでなく、引き上げるときにも力をかけられるようになり、ペダリングの効率が高まる。体幹・下肢の筋発達の面でもバランスがとれ、より好ましい。
逆に、その機能を持たない普通の靴で乗るのでは、そのペダルの長所を生かすことができないばかりか、靴を安定させにくく効率の面で不利になるとも考えられる。
もちろん、私としてもバインディングペダル・シューズを利用するつもりではいた。
実は、ML3以前、Miyata SAR ALFREX Carbonに乗っていたときにも、ロードバイク用のシューズ+バインディングペダルを利用していたことがある。ただ、シューズの底、拇指球(親指の付け根の膨らみ)の部分に大きいクリートという部品(Shimano製)をつけるため、その非常に歩きにくいこと! バイクに乗るだけだったらベストかもしれないが、目的の場所に移動した後、そのまま歩いたりすることには全く適していなかった。さらに、一度車道で信号待ちをする際にペダルからシューズを外すのに失敗し、車道側にコケそうになってしまったことがきっかけで、残念ながらあまり使わなくなってしまったのだった。
ML3を購入した後、このシューズのクリートをShimano用からLOOK用に付け替え、一度だけ乗ってみたことがあった。やはり、歩きづらい。そのうえ、購入して時間が経ってしまっていたせいか、靴底がバリバリと剥がれてしまったのである。
こんな事情があって、ほぼ4ヶ月間「普通の靴」で乗り続けることになったわけである。その間、スポーツ車のペダルをいろいろと調べていたのだが、今付属しているロード用のペダルと対応シューズでは、
「普通に歩けるシューズ」
を求めるのは無理に等しいことがわかった。となると、選択肢はMTB用のペダル・シューズしかない。このタイプだと、クリートが小さく、シューズの底のへこんだ部分に隠れてしまうため、底に出っ張ることはないのだ。
そこで、このMTBペダル・シューズの組み合わせ、という方針を固め、自転車を購入したショップへ出かけたのである。
ところが、この日の店員さんの応対は決してほめられたものではなかった。最初に声をかけた店員は明らかに面倒くさそうな対応をしているし、「別の者に引き継ぎしました」といいながら引き継ぎ対象の店員も紹介してくれない。その後待っていても、引き継ぎを受けたはずの店員もやってこない。自転車本体のようにまとまった額の取引になる場合だけ力を入れて、それ以外の対応はなおざりにされているように見えてしまう。
近くにいた店員に改めて声をかけると、この彼は一生懸命に対応しようとしてくれているようで、多少救われた感じがしたが、若干商品知識に乏しいようで、私の意図があまり伝わらなかったのが残念だった。
このショップでの購入をあきらめ、後日別のショップへと出かけた。晴海トリトンにあるそのショップは私の自宅からは少し遠いけれども、以前何度か利用したとき商品説明が丁寧だったことで好印象がある。
今回も応対は丁寧だった。対応に出た店員さんはまだ勤務歴が短い人らしく、商品知識は今一つだが、先輩社員と思われる人がきちんとフォローしていた。
結局こちらで、通常MTBに取り付けるSPDというタイプのペダルと、それに対応したシューズを購入することができた。シューズは実際に履いてみると拇指球の部分が持ち上がっている感じがして、普通のシューズとは感触がずいぶん異なるものの、ロード専用のように滑ることはなく、極端に歩きにくくはない。

自宅に帰り、早速ペダル交換の作業にとりかかる。
まず、ヘキサゴンレンチを使って現在ついているLOOK製のペダルを外そうとした。しかし、びくともしない。
さらに、スパナを使って外そうとしたが、短すぎるため十分なトルクをかけられない。私が持っている工具ではまず交換は無理である。
阿佐ヶ谷のショップが21:00頃まで営業をしているのを思い出し、ペダル用レンチを購入すべく閉店間際に駆け込んだ。ここには豊富な工具が揃っており、ペダルレンチも複数メーカーのものが置いてあった。私はトルクをかけやすい十分な長さと、握りやすいグリップを持つ中間価格帯のレンチを選んだ。
まもなく、自宅にてペダル交換の再開。さすがに専用工具だけあって、あっさりと抜けた。
次に新しく購入したSPDペダルを取り付けた。今までのペダルと比較するとかなり小さく、メカがむき出しなのでちょっと違和感がある。あまりにも小さすぎるので、これに普通の靴で乗るのは前のペダルよりずっと大変かもしれない。
最後に、シューズに専用のクリートを取り付ける。このクリートがSPDペダルのクリップにはまって、シューズとペダルを一体化させることができるわけだ。
クリートの位置は何回か微調整をしながら決定していった。ポイントがずれていると、ペダリングの効率を落としたり、膝などの関節を痛めたりする可能性もあるためだ。
ペダルのクリップの強さは、慣れないうちの安全性を考慮し、すぐ外せるように最弱の状態にセッティングした。
以上、一通り取り付けが終わったのであとは実際に乗ってみるだけである。

クリートをつけたシューズで歩いてみる。靴底のへこんだ部分に取り付けてはあるのだが、若干は地面に触れてしまうようで、ちょっと音がする。それでも、ロード用と比較すると露骨に出っ張っているわけではないので、不自然な歩き方にはならない。
次にML3にまたがり、右足をバインドする。初めて使うシューズとペダルであるにも関わらず、ずいぶんと簡単にバインドできた。自転車が前に進むと同時に左足もバインドする。これも簡単。私が購入したSPDペダルは両面にクリップがあるので、あまり意識しなくても自然にバインドされる感じだ。また、クリップの力が最弱なので、外すのも難しくはない。停車時に地面に足を置いても、ロード用のように不安定ではないことがわかった。
さらに自転車を走らせてみると、片足が踏み込むときは反対側の足が引き上げる、というペダリングが可能になるため、それはもう加速もよく、走り出してからの速度の維持もより楽に感じる。出力しているエネルギーは同じでも、使う筋肉が分散されるので、局所的な負担が小さくなるのである。

ますます自転車に乗るのが楽しみになってしまった。

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