サバット(La Savate)

La Savate. 私がこの名前を初めて目にしたのは、1980年に福昌堂から発売された「ソウルファインティング 魂の武器―截拳道への道 ブルースから全ての闘う男たちへのメッセージ (1980年)」という書籍の中にある、著者ブルース・リーのメモが初めてだったと思います。同じ頃、父が買ってきてくれた「わがカラテ日々研鑽 (1980年)」に大きな影響を受けて、大山倍達先生の書籍を買いあさったのですが、その中にはフランスの格闘技「サファーデ」という名前があって、きっとブルース・リーのいう”La Savate”と大山先生のいう「サファーデ」は同じものなのだろうと子供心に理解していました。私自身は、ブルース・リーのメモから、この格闘技のことを「サバテ」と呼んでいましたね。その後、日本の格闘技雑誌でも紹介されるようになりましたが、「サバット」という記載で統一されているようです。

かつてのK-1チャンピオンアーネスト・ホーストもサバットの選手だったという話を聞きます。技術もレベルが高く、選手層も厚いのでしょう。

そのサバット、exfit TVでさまざまなコンテンツを積極的に撮影してきてくれるIくんが取材してきてくれました。

本当は私も取材に同行したかったのですが、なかなか仕事が大変なこともあり、残念ながらスケジュールを押さえられませんでした。Iくんによればかなり面白かったということで、いずれ続編の撮影とかで実物を見る機会を得たいと思いました。

サバットの世界チャンピオン、原万里子選手が実演されています。靴を履き、それを武器として使うこともあって、日本でよく見る機会があったK-1やキック・ボクシングなどとはかなり見た目の印象が異なります。私が習っていた中国武術も靴を履いて行うのが前提だったので非常に興味深いところです。

前述した「ソウルファインティング 魂の武器―截拳道への道 ブルースから全ての闘う男たちへのメッセージ (1980年)」には、1960年代後半にアメリカのブラック・ベルト誌用に撮影したと思われる、ブルース・リーがグローブをつけてスパーリングする写真が多数掲載されているのですが、この写真を見たとき、膝をかなり高く上げて前に押し込むように蹴る前蹴りの写真にかなり違和感を覚えた記憶があります。空手部の先輩方は回し蹴りの写真を見て「こいは上半身が倒れすぎじゃっど(この写真は上半身が倒れすぎだよ)」と言っていたのを覚えていますが、これらについては今回、一連のexfit TV動画を見て氷解しました。今、この書籍の一覧の写真と見比べれば、両者は非常に似ていることがわかるわけです。中村頼永先生の書籍などで、ジークンドーのけり技がサバットの影響が強いということは知っていましたが、改めて実感した次第です。ただ、ブルース・リーの場合、後ろ足で回し蹴りを入れるようなことはほとんどなかったようですが。

それにしても、ブルース・リーはどうやってサバットの技をジークンドーに取り入れることができたのでしょうか? 彼は格闘技に関する相当な数の書籍やフィルムを収集していたと聞きますが、前述のメモについてもおそらくは何かの書籍から転記したものと考えられます。

また、ブルース・リーのお兄さん、ピーター・リーさんはフェンシングの選手で、国際大会の香港代表のような人だったと聞いています。ブルース・リー自身がフェンシング・コスチュームを着ている写真もどこかで見た記憶がありますが、この関係で、同じフランス初の格闘技であるサバットの先生をお兄さんや関係者から紹介してもらったり、フィルム類を手に入れやすかった可能性はありますね。

日本ではまだマイナーなサバット。でも、世界チャンピオンもいるんですよ。日本でのこれからますますの発展を祈りたいと思います。