截拳道(ジークンドー)への道

 私が高校生のときの話です。
 当時筋力にコンプレックスのあった私は通信販売で「アポロエクササイザー(当時、フィットネスアポロジャパンが輸入・販売)」という筋力トレーニング器具を購入することにしました。その同じ通販会社にブルース・リーが著作したという「秘伝 截拳道への道」という書籍が紹介されていました。中学生のときに購入した『ソウルファイティング魂の武器』が非常に興味深い書籍だったので、それも一緒に購入することにしました。
 『ソウルファイティング魂の武器』は写真が多く、文章も簡略化されていて、私にもなじみやすい書籍でした。しかし、OHARA PUBLICASIONSの”TAO OF JEET KUNE DO”を直訳した『秘伝 截拳道への道』ときたら、哲学的な話が難解な言葉で書かれていて、とても難しい! 内容的にも散文的でまとまりがなく、彼のメモやイラストをちりばめただけ、という印象があります。それでも、当時としては貴重な写真が収録されていましたし、彼の直筆のイラストは非常に貴重な資料です。中には危険な急所を記した図や、季節によって変わる急所の図までが含まれており、ブルース・リーが深く中国武術を研究していた形跡を伺わせます。後に出版されるブルース・リー本人の分解写真による”Bruce Lee’s Fighting Method”(日本では『ブルース・リーの格闘法』としてフォレスト出版より発売済み)と照らし合わせると、より貴重な資料となりました。
 この書籍は「たのみこむ」で復刻されて、私はそれも所持していますが(最終ページには私の名前も入ってる!)、オリジナルからのコピーらしく、写真などの質は当時のものよりかなりクォリティが低くなっています。
 また、当時の私は知るよしがなかったのですが、『秘伝 截拳道への道』は海賊版だったという話があります。誤訳も多いため、資料としての価値にも問題があるそうなんです。
 そして、ここでようやく出てきましたが、キネマ旬報社から出版された『截拳道への道』はきちんと版権の手続きをとった正式な日本語訳書になります。私自身は、海賊版とされる『秘伝 截拳道への道』にも非常に思い入れがあるのですが、確かに奥田祐士氏が訳されたキネマ旬報社刊のほうが自然な日本語表現となっていて、難解さが軽減されているように思います。
 Amazonで見てみると、残念ながらこのレビューを執筆時点では価格情報、在庫情報ともに「なし」となっています。ブルース・リーの武術を知るための貴重な資料ですから、ぜひ販売を継続してほしいものです。私自身、保存用に新しい書籍がほしいと思っています。