中高年からのやわらか筋トレとストレッチ入門

 タイトルから行くと中高年向けのエクササイズ本のようですが、私の考えでは運動習慣を持っていない人でこれから運動を始めよう、という人にとって非常に役立つ書籍だと思います。
 20世紀後半、「これだけの効果を出すためにはどのような運動が望ましく、どれだけ行えば良いか」というような、運動生理学的研究が進み、盛んに勧められるようになりました。それは頭ではわかっているのに、「始められない」あるいは「長続きできない」。そのプログラムがどんなに効果があるものでも、「実行できない」のであればその人にとって実用的なものであるとはいえません。多くのスポーツクラブの退会率が高いのは、おそらく各個人に適したプログラムを提供できていないのでしょう。それは、既存のICOのプログラムも同様であり、今後の改善ポイントの第一に掲げ、整理を始めているところです。

 現代人にとって「つらい」エクササイズのためにわざわざ「時間」をとることは、大変に敷居が高いことです。スポーツクラブに通う、ともなるとその移動時間も馬鹿にならず、始めるための身体的・精神的なコストを高めることになります。
 この観点からはまず、プログラムの敷居を下げることが重要なポイントとなるでしょう。もともと運動が好きで、時間があり、体力的にも十分な人は、ジムに移動して、体重の半分のベンチ・プレスを10回、3セットから始めるのが苦にならないかもしれません。しかし、それだけ時間をとるのも惜しい、という人にはそれを始める気にもなりません。
 ですが、1日24時間の間に全く息抜きをしない人がいるでしょうか? 就寝時は別として、その前後や帰宅直後など、一瞬でもゴロンとするような瞬間はありませんか? そんなときにできるような軽めの筋トレ種目やストレッチ種目がこの書籍では紹介されています。寝た状態でのストレッチや腰のリズミカルなひねりなど、若い人からは「こんなので運動になるのかな?」と言われそうですが、ほとんど運動習慣がない人がやれば、それは大きな刺激になります。固まっていた筋肉がゆるみ、関節の動きがよくなったり、自律神経系の働きが整えられ、冷え性や便秘が改善されたりする可能性もあるのです。
 そのようなごく軽い運動で「体の調子がよくなる体験」ができれば、「より良くしたい」という動機付けも得やすくなり、プログラムもグレードアップできるでしょう。仕事の効率が上がることで、よりステージの高いエクササイズのための時間をとる気持ちも生まれてくるかもしれません。
 現在、すでに中高年である私自身がそうですね。ICOで紹介しているような筋力トレーニングをスポーツクラブで行っていますが、そのための心身の状態を作るのに、この書籍で紹介されているような「やさし目」のストレッチが非常に役立っています。