バイクのきしみ音

ロードバイク Bianchi ML3 Veloce Mixに乗り始めてから3ヶ月半以上が経過した。この間の走行距離は約1900km。
このバイクは非常に気に入っているのだが、購入直後からさまざまな異音を感じる困ったちゃんバイクでもあったのだ。
以下は、この3ヶ月半というわずかな期間に私が体験した異音と、その解決法である。

1) ホイールの異音
まず感じたのは、ホイールの回転時に発生する音。ママチャリのブレーキをもっと鈍くした様な音が繰り返されるのだ。今まで乗ってきたロードバイクでは経験がない音だ。
乗車中にしか感じられないような音は発生源を特定するのが難しい。当初はフロント・ホイール(前輪)から発生しているように感じられた。
このときは購入後1週間も経過していなかったので販売店に持ち込むつもりだった。しかし、気づかないうちにこの音は消滅してしまったので、結局販売店に相談することはなかった。

2) 凹凸のある地面を走ったときのきしみ音
その後、購入後2ヶ月に差しかかるころか。地面の凹凸に合わせてきしむような音がし始めた。「ギシッ」「ミシッ」「カチカチ」というような比較的乾いた音だ。これも、以前まで乗っていたロードバイクでは経験したことがない音である。
こちらも乗車中にしか発生しない音なので原因の特定が難しい。日々のメンテナンスで使うチェーンルーブ(潤滑剤)を変更したら音が止まったので、チェーンの潤滑不足に原因があったのだと私は思っていた。

3) ホイールの異音・再発
自宅近くのサイクリング・コースを走っていたときに突然起こる。上記2)のきしみ音が解決してすぐの話だ。
数日間放置しておくと、音がだんだんとひどくなっていってしまう。1)同様、フロント・ホイールから音が発生しているように感じられたため、自転車を降りてフロント・ホイールだけ回してみた。だが異常はない。そこで、リア・ホイール(後輪)を回してみると、1)の音をもっとひどくしたようなうるさい音がする。原因はリア・ホイールにあったのだった。
自宅に帰り、フレーム(車体)からリア・ホイールを外し、ハブ(車軸)を分解してみることにした。しかし、完成車用のこのハブがどこのメーカーのものかわからず、以前Shimano 105シリーズのハブを分解したときのようにはいかない。気休めではあるがグリスがはみ出しているところの上からグリスを足して、フレームに戻す。
すると、なぜか音が止んでいる。気休めのグリスが効果があったとは思えない。なぜ?

4) ホイールの異音・再々発
3)が解決したと思ったら数日後、またホイールの異音が再発する。ただし、以前ほど音は大きくないが…。
そこで、フロント・ホイールとリア・ホイールの動きを見比べてみることにしたところ、その原因が意外なところにあることがわかってしまった。
私のBianchi ML3には、ハブの外側をABS樹脂のようなカバーが覆う形になっているが、前輪側のカバーはハブの回転と同期せずに常に固定されているのに対し、後輪のカバーはホイールと一緒に回転しているのだ。しかも、ホイールと回転数が合っていない。結局、このカバーがハブのある部分との摩擦を作って、音を鳴らせていたわけだ。気休めのグリスが一度でも効いたのは、このカバーとハブとの摩擦を減らしていたことによるのだろう。
私はカバーの位置をいろいろと調整してみて、ホイールの回転と同期するように調整してみたところそれだけで音がしなくなった。
もしかしたら前輪のようにカバー部は回転しないのが正解なのかもしれないが、音がしなくなったのでとりあえずは良しとしよう。

5) 凹凸のある地面を走ったときのきしみ音・再発
また最近になって、地面の凹凸に合わせて
「ぎしっ」
「みしっ」
「カタカタ」
という不快なきしみ音が再発しはじめた。
2) の経験があったので、改めてチェーンを洗浄し、オイルをさしてみたのだが、今回は全く効果は見られず、逆に日に日に音はひどくなっていくばかりだった。
数日たって気づいたのは、
「ペダルを踏み込む瞬間にギシッという音がすることがある」
「サドルに腰掛けて漕いでいるときだけ、凹凸でうるさい音がする」
ということだ。きしみ音はフレームを介してさまざまな場所に反響しているようだ。ボトム・ブラケット(クランクを取り付ける部品)周辺に感じることもあるし、もっとリア・ホイール側に感じることもある。緩んでいそうなボルトを探して増し締めをしてみたが、それでも状況は変わらない。
このようなわけで、購入したショップでスタッフに聞いてみることにした。私に自転車を売ってくれたスタッフが不在なので、レジにいたもっと若い人に質問をぶつけてみた。
その若いスタッフによると、前者についてはクランクを取り付ける部品であるボトムブラケットやペダルが怪しいし、後者についてはサドルやシートピラー(サドルを取り付けてフレームに差し込むバー)、フレームとの固定などに問題があるかもしれないという。
いずれにせよ、実際に試乗してみないとわからないし、一定期間の預かりになるという。場合によっては、工賃もかかることになるかもしれないそうだ。購入後3ヶ月の不調で工賃をかけるのは、ちょっといやだな。
それで、まずは自分で調べてみることにした。
ネットで調べてみると、私と同じような経験をしている人は意外に多いことに気づく。その中で、私とかなり似た症状に関する報告をしている日記サイトを見つけた。サドルやピラーではなく、ピラーを締めつけるためのシートクランプという部品が関係していたというのだ。これを洗浄しグリスをつけることで音がしなくなったらしい。
私も多少は緩んできていると思われるこの部分の増し締めを行ってはいたのだが、状況は変わらなかった。私の場合、雨天時に数回の走行をしているから、そういった場面で必要なグリスが流れ出てしまったという可能性がある。実際に音がなるのはサドルに荷重がかかるときだけだし、試してみる価値はありそうだ。
この報告にしたがってメンテナンスを行ってみることにした。
シート・クランプをゆるめ、シートピラーをフレームから外す。さらにクランプをフレームから外し、洗浄する。
シート・ピラーからサドルを取り外し、それぞれの接合部分の古いグリスを拭き取って、新しいグリスを丁寧に塗り、改めて取付直してみた。
その後、余計なグリスを拭き取り、自宅周辺を数キロ試乗してみたところ、あの悩ましい音がきれいさっぱりなくなっていることに気づいた。これだけの違いで、なんと快適なことだろう!
サドル周辺の部品の接合部をすべてメンテナンスしたので、それらのどこが原因だったのかまでははっきりしない。ただ、増し締めをしても消えなかった音が、グリスを塗ったことによって消えたということから、雨天時の走行などによりサドル周辺のグリスが流れだしてしまい、それがきしみの原因になっていた可能性が考えられる。
いずれにせよ、以後同様の音が発生した場合は、同じ方法で解決すればよいわけだ。対処法のヒントをくれたあのサイトのオーナーさんに、感謝の意を表したい。

(おまけ)
きしみ音が解決する前、私はBianchi ML3で山手通りを走っていた。すると駒沢通りの近くで数多くのロードバイクを設置している自転車屋を見つけた。糠屋さんというショップで、非常に独特な趣を持っている店だった。
私がショップの中を見ていると、若い店員さんが話しかけてきてくれた。
「ロードバイクが多いですね」
と私が聞くと、
「最近かなり人気があります。それで数を増やしているんですよ。」
という。
ものはついでと、自転車の音について聞いてみた。もちろん、このショップで買ったわけではないので、詳細な回答を期待していたわけではなかったのだが、店員さんの反応は意外だった。
「じゃあ、ちょっと見せていただいていいですか?」
といい、わざわざショップの外に出て私の自転車を見てくれたのだ。
「ざっとみた感じ、チェーンもまだまだ大丈夫で交換の必要はなさそうです。フレームも細かく見ないとはっきりとしたことはいえませんが、購入後の期間、見た目の状況からは傷んでいることは考えにくいですね。緩みやすい部分、荷重がかかりやすい部分は増し締めをしたほうがいいかもしれません。サドル周辺はもちろんボトム・ブラケットとか、あるいはペダルとかもですね。」
インターネットで調べた結果でサドルやピラー、シート・クリップが怪しいとは思っていたが、私はチェーン、場合によってはフレームが傷んでいる可能性も捨てきれていなかった。しかし、プロの人が「おそらくそういった部分については大丈夫です」といってくれたことにより、すごく気が楽になってくれた感じがした。
購入したショップの店員さんは、私が切実な状況を訴えても「自ら降りて調べてくれる」というようなことはしてくれなかった。しかし、このショップの人は違った。私のようにさほどメカに詳しくない人が自転車を購入する場合は、これくらい面倒見のいいショップを利用したほうがいいだろう。