第二夜 ドラゴン怒りの鉄拳

今日は「ピカデリー9周年キャンペーン」の2日目。

日本初公開版の「ドラゴン怒りの鉄拳」を鑑賞してきました。昨日の「ドラゴン危機一発」同様、1983年のリバイバル以来の劇場鑑賞になりました。

こちらは「奇跡的に」発見されたという当時の上映用のプリントから起こされた映像ですが、見た感じ、昨日同様Blu-ray上映だと思います。Blu-rayとはいえフルハイビジョン画質だと思うので、さすがにフルスペックの35mmフィルムの高精細さはありません。

今、海外ではブルース・リー作品は4K化されていますが、いつか4Kでの劇場上映も期待したいな。

映像には至るところに欠落や傷があり、カラーも褪せて、昨日のデジタルリマスター版と比べるとかなりの難ありでした。でも、私は初公開当時はまだ幼かったので、日本公開オリジナルバージョンを劇場で見ていません。なので本当に嬉しい限りです。ちなみに、1983年版は音楽が一部差し替えられたいたのですが、あれはあれで好き。

でも、もうメディアで見ることになれているせいか、実際には「ドラゴン危機一発」を除いて広東語版が一番好きだったりします。

何をおいても、「自然」な感じがしますから。いつか、広東語版の劇場公開も期待したいですね。

さて、昨日の「ドラゴン危機一発」と比べると、ブルース・リーも香港スタイルに慣れたのか、演技もアクションもより進化した印象を受けました。迫力もすごく、格闘シーンも自然です。それに、やっぱり「ゴツイ」。

「ドラゴン危機一発」のアクションシーンでは、動きを少し速く見せる「コマ落とし」は使われていなかったと思いますが、この「ドラゴン怒りの鉄拳」では、道場で多人数を相手に大暴れするシーンの一部で使われているように見えます。これもまあ、映像の間を調整する一つの技術ですよね。

また、この映画から例の「怪鳥音」(あちゃー! おちょー!)も使われているのですが、怪鳥音の一歩手前の地声の「ウチャー」はおそらく本人の声ですね。最近YouTubeで見た、本人が発していると思われる「アチャー」とそっくりでしたから。

でも、高い声「アチャー」のほうは声優さんの声から自然につながるため、正直私には分かりません。広東語版では、声優の声からつながる「アチャー」が英語版とは大幅に違ったりしているのですが、いったいどれだけ効果音や叫び声のバージョンがあるんだ…。

おそらく、この映画は彼の香港4部作の中では、燃えよドラゴンに次いでいい出来だと個人的には思います。香港ではジャッキー・チェン主演やそっくりさん主演で続編が作られたり、ジェット・リーやドニー・イェンらによってリメイクされているところをみると、相当人気がある作品なのでしょう。

ブルース・リーの「ものまね」と言われることもあるドニー・イェンによれば、もはやこの映画は固まった「作品」であり、演技構成を変えてはならないものなのだとか。

過去の香港でこの作品が愛された背景には、反日の描写が強いこともあると思います。私自身は、これまではそういうことを意識することもなく鑑賞していました。

でも、大画面だと伝わってくる情報量も多く、悲劇性も相まって、観劇のあとはちょっと元気がなくなりました。

この映画は、日本人の武術道場の者が、中国の精武体育会の霍元甲を暗殺したという噂をモチーフにしていますが、もちろんこれはフィクションです。

当時、日本の柔道と交流していた記録も残っていて、それは友好的に始まったものであることが分かります。日本の側が、霍元甲に対する尊敬を持って、教えを請うた部分もあるわけで、この映画でこういう形で対立が強調されて描かれているのは、ブルース・リー作品とはいえ、残念なことです。

この霍元甲は、内臓の病気で肌が黄色く、「黄面虎」と呼ばれていたそうです。この体調不良が原因で亡くなった、というのが真相のようです。

「黄面虎」といえばタイガーマスク。そう。今日は最前列のまん中で、新宿の「タイガーマスク」さんが鑑賞されていました。

数年前に「燃えよドラゴン」を劇場鑑賞したときにお目にかかったのが最後かと思いますが、お元気そうでなによりでした。そういえば、このときも最前列での鑑賞でしたね(笑。お荷物が多いからでしょうか。

1986-87年頃、私は新宿のスポーツクラブでアルバイトをしていたのですが、そこに新聞を届けてくださっていたのがタイガーマスクさんでした。

さて、今日も主催者の方の有益だった情報をメモしておきます。

  • この「日本初公開版」は劇場上映は38年ぶり。初公開は1974年7月20日のはずですが、「東宝東和」さんが長く権利を持ち続け、1978年頃にファニーピープル、1979年6月に死亡遊戯との併映が記録されているため、38年ぶりとした。
  • 東映版「死亡遊戯」の発掘と同時に「怒りの鉄拳」も発見されたが、至る所に散らばっており、映像に欠落あり。
  • 後半に見られる「ぐにゃっ」と曲がるヌンチャクは有名だが、前半の道場破りのシーンのヌンチャクは本物の武具。ファンの間ではいわゆる「瓢箪形」と呼ばれており、道場の共同経営者、ジェームズ・リーが制作したと言われている。つまり、倉田保昭氏がプレゼントしたというヌンチャクではない。
  • 共演者の勝村淳さんとブルース・リーは喋る機会がよくあった。武術の打ち合わせでは、武具の使い方について、勝村さんから「刀の背を狙え」とアドバイスを受けた。ちょっと映像からは確認できないが。
  • 勝村さんもブルース・リーもケンカ自慢なので、お互いそんな話ばかりしていて最後は少し険悪気味になったとか。
  • 吉田役の「フンさん」。よく見ると柔道着の黒帯がボロボロ。実は明治大学出身の本物の柔道家だった。
  • ブルース・リーの「ドラゴンへの道」「死亡遊戯」でカメラを担当した西本正さんの奥様によれば、「フンさん」は香港警察に柔道を指導していたとのこと。その後アメリカに渡り、今はどうなっているかわからないそうである。

…映画も面白いけど、主催者さんの話が楽しみになってきています。明日も遅れないように行かなきゃ。