親指シフトノート

私が前回「親指シフトキーボード」を搭載したノートパソコンを購入したのは2000年10月のこと。重さ1.4kgと軽量で持ち運びに便利ということ、ビジネス向けではなく一般向けに市販された製品であったことから、親指シフトユーザにとっては画期的なモバイルマシンであったと思います。

このFMV BIBLO MC4/45は、2000年の夏モデルとして発売されました。市販のモバイルノートとしては3代目のマシンだったと思いますが、私はこの次の2000年冬モデルを購入するつもりでいました。
しかし、残念ながら市販の親指シフトマシンはそのMC4/45Cが最後となってしまったのです。冬モデルに期待していた私はあせりました。親指シフトのメッカともいえる表参道のショップアクセスにすら在庫がなくて、通販を受け付けていたショップに注文しても「在庫がなくなってしまった」という返事。一生懸命探していたところ、なんとお膝元の富士通の通販サイトWeb Martに型落ちの商品にラインナップされていたのです。結局こちらで購入し、今にいたっています。このあたりの経緯については、

親指シフト搭載ノートPC到着!
に書いています。
ちなみに、親指シフトマシンとしてはこの機種が最後だと述べましたが、実は2002年に富士通の売れ筋であるLooxというコンパクトマシンに親指シフトキーボード搭載と銘打たれた商品が発表されたことがありました。
私自身はこのマシンは親指シフトキーボードマシンであるとは思えないため、あえてMC4/45を最後の親指シフトキーボードマシンとして位置づけています。

このような事情で、私は発売から約4年を経過したMC4/45Cを今までサブマシンとして活用し続けてきました。
しかし、パソコンの陳腐化するスピードは非常に早いものです。MC4/45はコンパクト型だったこともあり、4年前の当時としてもさほどスペックの高いPCではなかったものですから、最近になってとみに処理能力の低下が気になるようになってきました。
特にWindowsの世界では、毎日強力なウィルスが出現したりセキュリティホールが登場したりして、日常的にウィルスソフトをアップデートしたり、アップグレードしたり、ウィルス定義を適用していく必要があります。Norton Internet Security 2004を適用したあたりからMC4/45のパフォーマンスは極端に低下し、実用に使うことすらつらくなってきてしまいました。専門の業者に頼んでCPUを交換してもらうことも考えましたが、メモリの搭載上限が192MBであり、改造できたとしてもチップセットの仕様で256MBが限界になります。このスペックは現在のバージョンであるWindows XPはおろか、Windows2000の最新版でもつらいスペックであるといえると思います。

しかし、親指シフトキーボードを搭載した一般向けの市販のノートパソコンは現存しません。エミュレータを使用して、同じくらいのサイズのノートパソコンを親指シフト化することも考えました。この場合、私は富士通のノートPCにはほとんど魅力を感じていないので、別メーカを購入することになるでしょう。ただ、私はキーボードの作りがいいというIBM ThinkPadのうち何種類かの機種でエミュレータのテストをしてみましたが、残念ながら専用キーボードを持つノートPCのような快適性を得ることができませんでした。

後は携帯性を犠牲にして親指シフトノートPCを新しくするか。実は、一般向けの市販製品としての親指シフトノートパソコンはなくても、ビジネスモデルとして日本国内で発売されているLIFEBOOKシリーズの一部の型で、親指シフトキーボードを選択できるようになっているのです。表参道のアクセスさんなら、もともとカスタマイズしたノートをすぐに持ち帰ることができるように店頭においていますが、基本的には受注製品であり、注文から手に入るまでに2-3週間かかります。
このLIFEBOOKにはMC同様の大きさのモバイルノートもありますが、残念ながらこれらのノートは親指シフトキーボードを選択できません。カスタマイズ可能なラインナップは現在ではNAH、もしくはNAというA4ファイルサイズ(実際にはもっと大きいでしょうが)のマシンだけです。実重量も3kg強〜4kg強になりますから、「持ち運び用」ではなく「持ち運び可能」な製品ということができると思います。

ただ、私の場合持ち運ぶこと、あるいは持ち運ぶ最中に利用することが目的なのではなく、持ち運んだ先でじっくりと実用に耐えてくれることが重要です。そうなると、まあデカイものでも悪くはないのかな、と考えました。長時間扱う場合は、デスクトップ用と同じキーボードサイズのほうが疲れにくいでしょうし、画面も表示される文字も大きくなるので、目の疲れも抑えられるでしょう。

迷いつつ、表参道のアクセスさんのサイトをのぞいて、現在のLIFEBOOKのラインナップでどの程度の価格で売られているのか調べてみました。
現在の最新のラインナップは、2003年冬モデルとなっています。市販モデルが2004年夏モデルなので、LIFEBOOKシリーズもまもなくそれに追従するのでしょうか。
NAHというのは、RAIDにも対応した高性能マシンで完全にデスクトップ置き換えも可能なマシンです。重量も最低でも4.0kg。スペックも高く、価格設定も高めです。そこで、今回はNAというもう一つ下のランクのマシンをベースに考えてみることにしました。対象となるベースのマシンはFMV-7000NA5というもので、重量は約3.2kg。CPUはCeleron 2.0GHzで、現在のMC4/45の450MHzと比較するとかなり進歩しています。
私が希望するカスタマイズは、キーボードを親指シフトにすることのほかに、液晶画面をSXGA+にすることと、CD-ROMドライブをDVDマルチに変更すること。これで見積もってみると248,000円だそうです。しかし、メモリが128MBと実用外であるため、安価な製品を探して取り付けなければなりません。その分を考えると、プレインストールソフトもないこの製品は、一般向けの製品と比較してかなり高価だといえると思います。
画面やDVDをカスタマイズしなくても、196,000円。アクセスさんが用意した限定セットなら、メモリが384MBになって186,900円。それでも結構しますね。

そんな中、今月の22日になりますが、数カ月ぶりに何気なく新宿のソフマップに立ち寄りました。1階に中古ノートパソコンがたくさん展示してあるのですが、その中に何種類かのLIFEBOOKも展示されています。3台ほど、MC4と同じころに発売された製品がありますが、1台だけ、最近のデザインのLIFEBOOKがあるのを見つけました。機種名を見ると、FMV-7000NA5という刻印があります。この時は、「あれ、7000NA5って、現在のラインナップじゃなかったっけ? あるいは一つ前の世代かな」と思ったのですが、価格が97,000円弱(税込み)です。メモリは標準よりも大きな256MB、HDDも標準の20GBに対して30GBとなっています。もし、現行製品だったら、アクセスさんで見積もった金額の半分くらいですから、不相応に安いといえますね。
ということは、この型番が現行製品だったのは私の記憶違いだったのかもしれない。新品の発売時期は2003年10月ごろと掲示されていますので、そこは微妙なところですね。ここにあったどの機種も親指シフトキーボードではなく、JISキーボードであったため、このときはこれ以上興味を持つこともなく自宅に帰りました。
ところが、自宅にかえって改めてアクセスさんのサイトを見てみると、この型番が現行製品につけられた型番であることがわかりました。だとしたら、それは非常に安い。
だとしたら、なんとしてもソフマップに行って、この機種を入手したくなりました。
実は私はこんなこともあろうかと、2002年の7月ごろ、ネットオークションでLIFEBOOK用の親指シフトキーボード保守部品をネットオークションで入手していたのです。だから、もしこのキーボードと交換できれば、安くして親指シフトキーボードノートを手に入れることができることになります。

そして私は2日後の24日、家族とソフマップに向かいました。LIFEBOOKはビジネスモデルで無骨なのであまり興味を持たれないのか、2日前と同じ状況のまま置かれていました。
この製品を購入するにあたっては、一つだけ懸念がありました。私がネットオークションで手に入れてからLIFEBOOKの筐体は大きく変化していたのです。隣においてあった3台の旧モデルと比較して形は全く同じであることが確認できたのですが、内部のコネクタも昔のままかどうかははっきりとはわかりません。
この点に関しては一つの賭けでしたが、この価格でLIFEBOOKの現行製品を手に入れることは不可能といえます。しかも、この日は中古の日ということで、3000円引き。さらに中古3年保証を5000円の2割引でつけられるということも聞きました。これはお買い得です。
おそらく、いちいちモデルチェンジのたびに売れ行きのよくない親指シフトキーボードを何度も仕様変更することはないだろうと考え、購入することを決意しました。

動作確認のため、店頭で電源を入れてもらうと、液晶画面の性能が一般モデルと比較してあまりきれいではないことに気づきました。ただ、私の場合は文字の入力がメインとなりますので、ビジネスモデルのこの液晶で十分であると考えました。SXGA+でないことが少し残念ですが、その分文字は大きく、目にはやさしい感じがします。
また、ソフトも何も入っていないし、Windows XP Home Editionであるせいか、起動もソフトウエアの起動も、終了も非常に高速です。

その後、購入した7000NA5を自宅へ持ち帰り、以前入手していたキーボードを用意して、交換を考えました。
しかし、ここでとんでもない事を気づきました。交換の仕方が全くわからないのです。
私は全く短絡的に、後ろ側のねじを全部外してしまえばいいと思っていたのですが、いざ外そうとしてもはずれません。この時点で真っ青になってしまったのですが…。
どうしたらいいのか途方にくれて、キーボードを改めて見てみると、何か簡単にはずれそうな雰囲気です。基盤のプラスチックを軽くたわませてみると、そんなに苦労をせずにはずれるではありませんか! わざわざ裏蓋を外そうとした私は馬鹿でした。もっと早く気づけばよかった。
薄いフィルム製のコネクタは、私が所持している親指シフトキーボードと同じ仕様のようです。これで、唯一不安だった接続性も問題がなさそうであることがわかりました。
ただ、JISのほうはフィルムが固かったのですが、親指のほうは非常に薄い。このため、引き抜くのは簡単だったのですが、差し込むのはとても大変だったのです。
何とか差し込んだ後、外したとき同様、軽くキーボードをたわませて(もしかしたら上蓋の一部を外せたのかもしれませんが)、キーボードを固定しました。これで交換完了。あとは
「稼働するか」
が問題です。
電源を入れ、XPが立ち上がったところでメモ帳を起動し、ローマ字で日本語を入力してみます。どうやら全く問題はありません。そこで、富士通製のIMEであるJapanist2003をインストールし、親指シフトキーボードのドライバを入れて、親指シフト入力を行ってみます。
完璧! 快適な親指シフトでの入力が可能になりました。よかったー。
新品のキーボードにキーボードの左上を覆うカバーが付属していなかったので、JISキーボードのものを流用しました。両者は色が異なるので若干の違和感はありますが、実用上は全く問題はありません。

何よりも今回満足したのは、新品で注文すれば2-3週間待たされ、しかも20万程度かかる構成のマシンをその半額で購入できたということです。3年保証のことも考えればさらに安いといえるでしょう。前回のマシンも3年半使っていますから。
現在、この文章はいつものPower Mac G4ではなく、FMV-7000NA5で入力しています。親指キーが無変換、変換キーと共用なので、時々タイプミスをしてしまいますが、キーボードが比較的ソフトでサイズも大きい分、MC4/45よりは打ちやすいです。また、Power Mac G4 OS Xと比較しても日本語の入力、変換のリスポンスがいいので、かなり快適ですね。あとはメモリが少ないので、複数のソフトを同時に立ち上げて処理をするとつらい部分があります。これはできるだけ早い時期に追加したいと考えています。
また、望みは薄いのですが、拡張ベイに対応したDVDマルチユニットも探してみたいですね。そうすると、サブマシンにしておくのはもったいないマシンになります。XGAなのがメインマシンとしては物足りないくらいでしょうか? ただ、文字入力だけなら、このくらいのほうが文字も大きく表示され、疲れにくいかもしれません。