G DH Marathon 野沢温泉

いよいよ本番である。私の出走順は昨日のリタイアが響き、542番。コースへの入り口で待っているのだがなかなか呼ばれない。
ようやく呼ばれて並んでみるとそこは28列目だった。その後、27列目があいていたので前方にスライドし、最終的にはそこからスタートできることになった。
しかし、650人いるはずなのに、リタイヤした私がなぜに542番で後ろに100人分の番号が残っていたのだろうか? そういえば、私の後ろの列に強そうな人が集まってくる。彼らの会話を聞いていると、どうも彼らは予選には出ず、本戦のみの出場だから私より後ろの番号なのだ。彼らはきっとスピードも速いだろうから、接触したりしないように注意しなければならない。
とはいえ、私の後ろに100人もいるわけではない。どうやら予選のみでなく本戦もキャンセルしている人がかなりいる模様である。
スタートが近づくと野沢の太鼓の演奏が始まり、士気を鼓舞される。そして、一瞬の静寂のあと、スタートの合図。
27列目も思ったより早くスタートできた。コースが長い下りであることもあり、私の位置からはかなり前のほうまで見通すことができたが、600人もの一斉スタートはそれはもうすごいものだった。
私はのんびりと下っていたが、それでもすぐに上級のテクニカルコースと初・中級のコースの分岐がやってくる。前者については、先週一度だけチャレンジしたのみだが、今回で最後の走行だし、上級へ進んでみることにした。ただ、このコースは分かれてすぐのところで大勢の人が止まって並んでいたので、先を急ぐ何人かの選手が引き返して初・中級のほうへ戻っていった。
並んでいた選手がはけて、少し進むと小さなシングルトラックの中に入るが、先週試走したときと異なり、倒木などが払われており、走りやすくなっていることがわかった。このようなコースが2つくらいあり、さらに進むと短い激下りのコースと迂回路に分かれている。私は迂回路のほうを選択したが、こちらは入り口から出口まで多数の人が並んでいる。私の後ろにいた人たちはみな短い下りを選んだので、私は最後尾になった。つまりは現時点では最下位ということだ。
はるか前方には滑りやすい激登り板が設置されていて、そこで人の流れが滞っている。私は並んでズッと順番を待ったが、おそらく私がここを通過するころには1位の人はゴール地点かそこに近いところにいただろう。
その板のところでは、先に超えた人が次の人のバイクを引っ張り上げる、という協力体制をとって、お互いに助け合ってクリアしている。最後尾の私はカメラマンの人に話しかけられた。
「ここに並んだ、ということは、みんなこのお互いの助け合いを期待しているんですか?」
私はそれは全く想定していないことだったのでそうではないと答えたのだが、こういった助け合いができるところもこのイベントのいいところなのだろう。私は最後尾で乗り越えたので、後ろの人を手助けする、という機会はなかったが、私のバイクを引っ張り挙げて下さった前方のみなさんがすべてスタートしてから私も発車することにした。
少し進むと、今度は「きわめて危険」「自信がない人は迂回路を」というような分岐があったので、私は無理をせず迂回路に進んだ。ここはいったん下った後、Uターンして登りで引き返すようなコースになっていて、やさしい分距離を走らなければならなくなっている。全体的に先週試走したのとはかなり異なるコースづくりになっていて、以前よりかなり長くなっていると感じた。それでも、初・中級コースを選択した場合よりは短いだろう。私も激登り板のところではかなり待たされたが、おそらく初・中級も遊歩道で長時間止まることはないにしても結構押して進むことが多かったのではないかと推測する。
上級と初・中級の合流地点から、ぬかるんだ林道に入っていくが、前日からの多数のバイクの走行によって路面の状態は相当ひどくなっており、バイクコントロールも一段と難しくなっていた。ただ、昨日交換したIRC MIBROの具合がよく、転倒などはせずにすんだ。しかし、林道の最後のところから入っていくシングルトラックの部分はやはり入り口から混んでいる。出口の沢のところで人がたまっているのだろう。ここは予選のときと同様、止まっては数十センチ進むという動作の繰り返しだった。
それにしても、路面状態は予選時よりさらに悪くなっている。何とか沢を超えて最後バイクを抱えながら登っていると、誰かがバイクを引っ張り上げてくれた。よくみると、私くらいの年齢のお父さんと、小さな息子さんだった。小学校の低学年くらいか? このお子さんが結構いい具合に私のProphetを引き上げてくれて、意外にあっさり上に上がったのである。
私が上がった後も、次の人を手伝っている。その子の自転車は別の人の手伝いで、別のところから上がってきていた。子供でも大人同様にイベントに参加して、きちんと走ったり人の手助けをしている。私は改めてMTBイベントのメリットを感じたのだった。
私は彼らに何度もお礼をいいつつ、先に進む。次のシングルトラックもかなり止まることが多かった。シングルトラックとは基本的にバイク1台しか通れない道であり、その途中に障害物があったり、急坂があったりするわけだから、人がたまるのも当然だろう。
ここを抜けると、基本的に人が大勢たまるような場所はない。実際、ここからが非常に楽しかった。
舗装路を飛ばし、ゲレンデに入る。枯れ場では滑って一度転倒してしまったが、何人かにパスされたあとキャンバー走行に復帰した。苦手だったキャンバーも結構慣れたようで、ここからはパスされた人のほとんどを抜く形で進み、極端な激下りも草をつかみながらゆっくり降りる、という方法をとったことで意外にスムースに行けた。この急坂もいつかはバイクに乗ったまま降りてみたいと考えるが、現状はこんな方法が精一杯だったのだ。
予選でリタイヤすることになった溝のどころは用心してバイクを降り、その後の繰り返し現れる登りセクション、下りセクションでは抜かすことはあっても抜かれることはなかった。ゴール直前の下りも思い切りペダリングする余裕を残した状態だった。ゴールしたのは出走して83分を過ぎたころだったが、何とか制限時間の90分以内に走ることができて満足している。おそらくこの時間の半分以上が障害物やシングルトラックでバイクを降りて待っていた時間だっただろう。
今回のレースは準備も、毎回の走行のためのバイクの整備も大変だった。駐車場からゴンドラやパーティ会場までも比較的距離があり、行き来に若干不自由もした。しかし、走り終わってみれば非常に楽しいイベントであった。
来年もこのイベントに参加するか? と問われれば現状では微妙だ。何より今は終わったばかりで疲労が激しいし、ちょっと来年のことまでは考えられないのがその理由だ。そのころまでに私の技量が上がって、スムースに柔らかく降りられるようになっていたら、また気持ちが盛り上がるのかもしれない。