“筋肉博士”石井直方の筋肉まるわかり大事典―筋肉のヒミツ、トレーニングの極意、栄養&食事法まで

名実ともに「筋肉博士」の石井先生の著書というだけで、もうおすすめしたくなってしまいます。先生の著書はすごく貴重で専門的なことが書かれているのにも関わらず、楽しく読めてわかりやすいんですよね。健康体力研究所さまの機関誌のコラムなどを読んでいるとすごく貴重な情報が書いてあって、いつか書籍にまとまったらいいな、これなんて思っていました。
この書籍は特に一般向けに書かれている読み物とはいえ、研究室の最新情報まで書かれていて、私が初めて知る情報もかなりありました。
フィットネス・エクササイズ、トレーニングに不可欠の「骨格筋」について、もう少し詳しく知りたい方はぜひ。フィットネス・クラブのインストラクターの方も、話のネタづくりにどうぞ。

FNCバランスコンディショニング―Sports & Fitness

これまでボール(バルーン)に特化した書籍をいくつか紹介してきましたが、そのバルーンを表紙に持ってきたこの書籍はその中でも最も完成度が高いものといえると思います。
もちろん、書籍のタイトルが示すとおり、ボールだけに特化されたものではなくさまざまな器具を使って身体バランスを高めていくための理論と種目の行い方、そして目的別のプログラムを紹介しています。
ただ、たとえばボールですが、実際にボールを使い始めるとき、基底面と身体重心、体軸を作り上げていくイメージを伝えてあげれば(ちょっと飛躍はしますが、高岡英夫先生の「センター」とか「丹田」とかのつくりかたみたいな)、もう少しおもしろみが増すのかな、と感じました。実際、ボールに座って力を抜くだけでも、あるいはそのまま軽く上下に振動させるだけでも、今まで見えなかった体の中の感覚とか、その意識とかに気づかされることがあります。正しく行ったときにどんな感じがするのか、たとえばいつ、いかなる時でも安定しているような心地よさとか、天井から頭頂部をつり上げられているような感覚とか。

この書籍で紹介されているソフトギムは、関連書籍や講習会などで知ってはいるのですが、実はまだ使ったことがありません。今後、取り回しのよいこのボールを使ったエクササイズ・プログラムを考えてみようと思っています。

ストレングス&コンディショニング〈1〉理論編

こちらは「理論編」ということで、スポーツトレーナーが知っておかなければならない基礎的な知識を総合的にまとめた書籍になっています。
運動生理学、スポーツ医学、解剖学、身体運動学、トレーニング理論など、筋力向上・コンディショニングの指導現場で必要と思われる知識がかなり詳細なレベルで語られており、私も基礎知識を忘れないようにするため、定期的に目を通すのに利用したり、気が向いたときにはじっくり読み直したりしています。
本当に興味がある人でないと読むのは大変かと思いますが、図も多くて私はとてもわかりやすい資料だと思います。私がフィットネス・インストラクターを始めたころは、運動生理学や解剖学など、それぞれの専門書を書店、古書店などで集めてそれぞれの知識を自分で集めていったものですが、これくらい完成度が高い総合的な指針となる資料はなかったと思います。逆にこういう総合的な本から入って、より興味がある専門分野の書籍に入っていくといいかもしれませんね。

筋肉—筋肉の構造・役割と筋出力のメカニズム

 この書籍は筋肉の生化学的−生理学的な働きと物理学的な働きについて詳細に紹介されている書籍です。それに加えて簡単ではありますが、筋力トレーニングの紹介にもページが割かれています。
『体脂肪−脂肪の蓄積と分解のメカニズム』の著者、医学博士の湯浅先生による著作ですが、こちらは生理学的な側面だけではなく、あらゆる角度から分析しているので、より情報量が多く、また難解でもあります。
 私はフィットネスインストラクターとしてのキャリアを始めた当初から、減量に役立つエクササイズとして筋力トレーニングを進めてきました。当時の減量エクササイズについては、筋力トレーニングに対する理解が不足している傾向があり、有名な先生方もこぞって「有酸素運動」一辺倒のプログラムを推奨されていました。それが現在は、減量プログラムに筋トレがあるのは半ば当然のこととなっていて、まさに隔世の感があります。
 難解ではありますが、筋トレに関わることの多いフィットネス・インストラクターにとって、筋肉に関しては基礎的な知識を持っておく必要がありますが、この書籍に準じた知識を持っていれば、かなり心強いと思います。

体脂肪—脂肪の蓄積と分解のメカニズム

 私はスポーツクラブの中では減量プログラムの開発責任者という立場がありましたし、ICOでも減量プログラムに関してかなり力を入れていましたので、肥満のメカニズムや、効率的で安全な減量の方法については常に勉強しておく必要がありました。
 この『体脂肪−脂肪の蓄積と分解のメカニズム』は肥満と非常に関係の深い「体脂肪」にテーマを絞った書籍です。体脂肪細胞はどのようなメカニズムで脂肪を取り込むのか。体脂肪組織に取り込まれた脂肪はどのように外に出るのか、筋肉はそれをどういうふうに燃やすのか、ということを生理学の知見に基づいて詳細に解説しています。
 減量に興味のある一般の人、というよりもう少し専門的な内容ですので、私みたいな立場の人が知識の確認をしたり整理をしたりするのに適した本かもしれません。
 私が所持しているのは初版のほうですが、2004年発売版のこちらは表紙デザインも若干変わっていますので、内容的な見直しが行われている可能性があります。

勝利をつかむコンディショニングBOOK

 アスリートが競技能力の「ピーク」を作るためのピリオダイゼーション・コンディショニングについて詳細に説明した書籍です。
 コンディショニングに必要な周期化に関わる情報は非常に膨大なものですが、それをよく1冊にまとめたものだと思います。単にトレーニングの行い方を紹介するのではなく、その間に起こりがちな体の不調(急性疾患、けが、リコンディショニング)や、メンタル・休養・栄養に関する情報まで盛り込まれています。
 もちろん、各分野の本当に詳細な情報などについては、紙面が限られているため必ずしも十分ではあるとはいえませんが、各種トレーニング種目や食事メニュー、メンタルエクササイズなどについて、もっと専門的な情報が必要になれば、そのときに各分野の専門書をひもとけばよいでしょう。
 競技能力のピーキングを行うために必要な周期化をどのように行うのかという設計の手法を学び、スケジュールを立てて実践してみるのにとても役立つでしょう。

 基礎理論については、とても懐かしい感じがしました。というのは私自身も、フィットネスインストラクターになる前、坂詰先生の師の一人である士反先生が作られた教育マニュアルに沿った研修を受けたことがあるからです。もちろん懐かしい、というだけではなく、今でもそれを私の知識や技術の基本として役立てています。

 本の帯には「アスリート」のための書籍のような記述がありますが、内容的には、コンディショニング・トレーナーを目指す人向けではないかと思います。もちろん、環境の問題でコンディショニング・トレーナーがいない環境でスポーツに取り組まなければならないアスリートの方にもおすすめです。

ホリスティックコンディショニング〈NO.1〉

「パーソナル・トレーナーズ・バイブル」をさらにグレードアップしたような書籍で、かの書の監修者が著作を行っています。内容がある分、高価ですが。
 ホリスティック=総合的・包括的なアプローチとして、この第1弾では神経-筋のコンディショニングについて詳細に解説しています。
 私は仕事柄PNFの専門書も何冊か所持していますし、講習も受けていますが、この書籍の解説のほうが写真の大きさやまとめ方のうまさからか、ずっとわかりやすく仕上がっていると思います。実際の動きは指導者の動きを直接観察したり、DVDのような動画の教材を見ないとわかりにくいのですが、そういった動きを学習したことがある人が復習をしたり、知らない手法を応用したりするのにはとても役立つことでしょう。
 内容が濃くて、私も全然学習し切れていないのですが、これはシリーズ本となる予定で、2,3,4と続くはず?です。私は早く2を読みたいと実は考えていたりします。以前、健康指導士講習会で受けた松本義光先生の「身体改善法」や、及川雅登先生の「関節ニュートラル整体」のイメージしにくい部分をスポーツ科学的に紹介してくれるのではないかという期待と、相違する点、リンクする点を照らし合わせてみたいという希望があるからです。関節にゆとりを持たせて(配列を正して)、機能を高める、という面では高岡英夫先生の「ゆる体操」とリンクする部分もあるかも。

 これは明らかにトレーナー向けの本ですが、コンディショニングの基礎知識を得たいと考えているスポーツ選手や、トレーナーとのコミュニケーションを高めて、自身のコンディショニングを最適化したいと考えている選手にも役立つ書籍かもしれません。

パーソナル・トレーナーズ・バイブル

 私は商業スポーツ施設のフィットネス・インストラクター出身で、いわゆる専門のパーソナル・トレーナーではなく、その経験もさほど多くありません。私自身、力不足を感じる場合にはお断りしています。もちろん、徐々に勉強を重ねて、いろいろな事例に対応したいとは思っているのですが。
 こういった過渡期のインストラクター、トレーナー向けに、さまざまな参考書が出ていますが、その中でもこの書籍はかなり参考になりました。
 どの書籍においても、
「ある目的に対して」
「このようなプログラムを適用すれば」
「期待する成果を上げられる」
といったようなことは書かれています。しかし、対象となる人は千差万別であり、どういったさじ加減をするかはトレーナーに任されます。そのさじ加減については資格を取ったり、先行の指導者に習ったり、経験を積んだりして少しずつ学習をしていくわけですが、どのくらい細かく対象となるお客様を分析して評価できるかで、その精度は確実に変わってきます。
 こういった評価のシステムは多くの書籍に一般的な評価法が書かれているわけですが、このパーソナル・トレーナーズ・バイブルについては、特に身体運動学的(キネシオロジー)な身体評価手法の紹介が充実していると思います。もちろん、その評価の専門書にはかなわないでしょうが、同じ価格帯(レベル)としては十分だと思います。
 整体のような民間療法的なアプローチによる評価法も私たちにとってかなり参考になりますが、このパーソナル・トレーナーズ・バイブルの場合はスポーツ科学の知見に基づいたものなので(まあ、スポーツ健康法も民間療法の一つといえますが)、私のような立場の人間には受け入れやすいものだと思います。
 ちなみに、最近武術を中心とした身体操作や意識との関連についての書籍が花盛りですが、評価の方法や、その評価の結果を本当に改善する運動なのか、という検証、そして具体的な手法の提供という点では、まだまだだと思います。もちろん、私自身も武術や身体操作、意識の関連についてはすごく興味があり、実際に断片的なプログラムを紹介する場合もありますので、とても期待される分野ではあります。